–発表された2つの提言の特性を教えてください。
高市早苗氏(以下、高市) 「日本再生ビジョン」は自民党の日本経済再生本部でつくりました。本部長は私が務めており、党総裁の直轄機関です。日本経済再生本部は、(1)起業大国推進グループ、(2)金融資本市場・企業統治改革グループ、(3)労働力強化・生産性向上グループ、(4)女性力拡大グループ、(5)地域力増強グループの5つのグループで構成されていますが、その中の若い議員たちが、多くの人の意見を聞きながら面白いと思うものをまとめたものです。
安倍首相は1月のダボス会議で「終わりなき第3の矢」とおっしゃったわけですから、斬新なアイデアが盛り込まれているこの提言を、政府にはぜひとも参考にしていただきたいですね。
一方で「総合政策集2014」は、自民党がつくった経済政策集です。これまでは経済政策をつくる際には、経済産業部会や財政金融部会など、経済関連部会の関係者のみが関与してきました。それでは旧来と大差ないものになってしまいます。私はむしろ、経済とは無関係に見える部会、例えば法務部会や外交部会などから何が出てくるのかを見たいと思いました。そこで全部会を対象に、3月に1カ月の期間を設定して政策を募集したのです。それをとりまとめたものが「総合政策集2014」です。
●対日投資の促進と、企業の海外展開促進
–具体的な中身について教えてください。
高市 とても面白いものになりましたよ。例えば法務部会から出てきた「『法令外国語訳』の体制充実等による対日投資の促進」と「法的リスク支援の強化による企業等の海外展開促進」です。
私が最も重視してきたのが、日本の立地競争力の強化です。日本経済が復活するためには、外資の誘致や国際取引の活性化は欠かせません。ところが、これまで法制度の壁がそれを阻んできたのです。法令の外国語訳を所轄するのは法務省ですが、現行では翻訳の公開まで平均804日もかかります。また外国語訳が公開されている法令は330あまりにすぎません。これでは国際取引をスムーズに進めるのに十分な法律情報を提供しているとはいえません。
日本企業が海外に展開しようとする際にも、同じことが問題になっています。私の事務所にも地元企業から相談がありますが、貿易に関しては経済産業省、雇用契約については厚生労働省など、さまざまな役所に問い合わせなければならず、企業にとっては煩雑この上ないことになっています。