一方、今回留任したのは岡素之・住友商事相談役、竹中平蔵・慶応義塾大学教授、橋本和仁・東京大学大学院工学系研究科教授(応用化学)、三木谷浩史・楽天会長兼社長(新経済連盟代表理事)の4氏。途中から産業競争力会議のメンバーに加わった岡氏は政府の規制改革会議の議長として医療改革などを主導し、留任が決まった。
ちなみに、安倍晋三首相は経済財政諮問会議の民間議員の学識経験者枠に小泉純一郎政権で構造改革を主導した竹中氏を据える考えだったといわれる。しかし、麻生太郎財務相をはじめ安倍政権には小泉路線と対立した閣僚が多く、竹中氏の就任に麻生財務相が強く反対、甘利明経済再生相も難色を示したともいわれた。結局、竹中氏を産業競争力会議のメンバーに加えるという妥協案で落ち着いた。竹中氏は今回も留任した。
新たな民間議員としては、経済財政諮問会議議員を退任となった佐々木則夫・東芝副会長、小林喜光・三菱ケミカルホールディングス社長が産業競争力会議の議員に横滑りし、金丸恭文・フューチャーアーキテクト会長兼社長、三村明夫・日本商工会議所会頭、小室淑恵・ワーク・ライフバランス社長が新たに加わった。
小室氏は内閣府の「男女共同参画会議 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」委員などを歴任。金丸氏は政府の規制改革会議のメンバーとして農業改革を主導しており、経済同友会の副代表幹事でもある。規制改革会議農業ワーキンググループの座長として全国農業協同組合連合会(JA農協)の株式会社化を主張した。
新しい顔ぶれからは、安倍政権の成長戦略の柱である農業、医療、雇用の規制緩和をさらに進める狙いがみてとれる。
●次期経済同友会代表幹事選びにも影響
2013年1月23日に初会合を開いた産業競争力会議が特に重視したのが「市場の創造」だった。そのため、10人の民間議員のうち2人の起業家を起用した。それが三木谷氏と秋山氏である。秋山氏は安倍晋三首相とは浅からぬ関係にある。小泉政権時代の03年10月、秋山氏は首相の諮問機関である政府税制調査会の委員に選ばれた。第1次安倍内閣の06年11月には同調査会の特別委員を歴任している。