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江川紹子の「事件ウオッチ」第22回

最悪の結末となった日本人人質事件ーー「テロに屈しない」ために“教訓”とすべき姿勢とは

文=江川紹子/ジャーナリスト
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「テロに屈しない」は、拳を振り上げたり、大声で叫んだり、武力で対抗することを意味しない。後藤さん殺害の報があった当日、菅官房長官は記者会見でISISへの空爆を行っているアメリカ主導の有志連合に対して「資金や人的な協力を検討する可能性はあるのか」という記者の質問に、「それはまったくない」と述べた。シリア内戦やISISの問題に関しては、武力行使とは一線を画し、もっぱら人道支援を行うのが日本が示してきた基本的立場。それを堅持する姿勢を見せ、テロが日本の外交姿勢を変えられないと示した。これも「テロに屈しない」、静かな決意表明といえる。

 日本には日本のやり方がある。あのような残忍な挑発に、日本は乗らない。テロによって日本の基本的姿勢を変えることはできない。私たちは、それを静かに、そしてぶれることなく、示し続けていきたい。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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