「相模原市中央区に相模原中央病院という大手の民間病院があるんです。この病院の一軒挟んだ隣には処方箋を調剤する調剤薬局『東聖薬局』があって、中央病院の患者の大半はその薬局を利用しており、40年間、そうした環境が維持されてきたんです。ところが今年7月に、中央病院の真隣り、病院と東聖薬局の間に割り込むかたちで、いきなり茨城県に本部を置く薬局チェーンが調剤薬局をオープンさせることになったんです」と言うのは医療関係者。
「大手のスーパーマーケットが小さな商店を潰す手口に似ていますよ。患者はどちらに行っていいのか混乱するし、利便性が下がるのは目に見えている。例えば、薬局はクスリの取り扱い量の実績により、厚労省の指導を受け薬価が安く抑えられる一方、新しい薬局は実績のある薬局より薬価が高くなる。それを知らずに、患者が病院のすぐ隣だからと新薬局に入ると高いクスリ代を払わされる。そもそも、中央病院は大手とはいえ、患者数が限られており、近隣で商売できる調剤薬局は一店舗が限界でしょう。だから、40年間もこの状態が続いてきたんです」(同)
そんな中、なぜここに来て突然、新たな調剤薬局ができることになったのか? 実はその裏には、ある企業の“私怨”と“商売への執着”ともいえる判断が見え隠れする。
「新薬局は、以前、東聖薬局への薬品の入札に負けた医療用薬品卸の大手『メディセオ』と業務提携をしている。つまり、入札で落とされた意趣返しとして、メディセオが東聖薬局潰しを画策しているのではと見られているのです。製薬業界の一部でも、『法的に問題はないが、薬局の道義には反する行為』と話題になっています」(製薬会社社員)
この製薬会社社員によると、新たに進出する調剤薬局は、茨城県に本部がある薬局チェーン「ヴィクトリー薬局」。メディセオは同チェーンに医薬品や調剤機器を卸している関係だというが、2014年夏に行われた東聖薬局への医薬品納入を決める薬品卸大手4社による入札競争に1社だけ負けたという。そこで、自社の息のかかった薬局チェーンを東聖薬局よりも立地のいい、病院の真隣りに出店させることにしたという疑いがあるのだ。