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西澤真生「仕事がデキる人の栄養マネジメント」

野菜ジュースや缶コーヒーは健康に悪い?隠れ糖尿病に要注意!

文=西澤真生/ひめのともみクリニック 医師
野菜ジュースや缶コーヒーは健康に悪い?隠れ糖尿病に要注意!の画像1「Thinkstock」より

 糖尿病は、血糖値が高くなる病気です。インスリンというホルモンの分泌が不十分だったりインスリンの効きが悪くなったりすることによって、ぶどう糖を細胞の中に入れることができなくなるために起きます。

 急速に悪化することの多い1型糖尿病に比べて、内臓肥満型の糖尿病はゆっくり進行し、あまり症状が出ないものです。そのため、検診で「血糖値が高めですよ」と忠告されても放置してしまい、気づいたときには合併症が進んでいるということも少なくありません。

 糖尿病で怖いのは、その合併症です。網膜の合併症が悪化すると失明したり、腎臓の合併症が悪化すると人工透析が必要になったりします。また、血管が詰まって心筋梗塞や足の壊疽が起きることもあります。糖尿病性神経症では、しびれや感覚障害、自律神経の異常なども生じます。

 しかし、正しく治療をすれば、糖尿病であっても健常者と同じように一生を過ごすことができます。大切なのは、合併症が出る前に治療を開始することです。

野菜ジュースや缶コーヒーが血糖値を上昇させる

 検診では、糖尿病の検査として、空腹時血糖値のほかにヘモグロビンA1c(HbA1c)を測ることが多いです。HbA1cは、赤血球中の赤いたんぱく質のへモグロビンに糖が結合したものを測定し、割合で表示したものです。

 たんぱく質をブドウ糖液に漬けておくと、ブドウ糖濃度に相関して糖が結合する性質を利用しており、一定期間の血糖の平均値を反映します。なお、糖化したたんぱく質に活性酸素が加わると害のある物質に変わり、老化現象やがん、動脈硬化や認知症に関係することもあります。

 内臓肥満型の糖尿病では、血糖値の上昇に対してインスリンは分泌されているのに、脂肪細胞の肥大によってインスリンの効き目が低下していることが多いです。そのため、インスリンを補う治療ではなく、インスリンを出さなくてもいい食事=血糖値を上げない食事をすることが大切です。

 もっとも血糖値を上げやすいのは液体に溶けている糖質なので、砂糖入り缶コーヒーやスポーツドリンク、糖質が多い野菜ジュースは要注意です。次に精製炭水化物、つまり普段の食事で食べている穀物や料理に含まれる砂糖も血糖値を上昇させます。

 逆に血糖値を上げにくいのは、意外にもたんぱく質や油脂です。野菜では、芋類は血糖値が上がりやすく、根菜より青い葉物のほうが血糖値は上がりません。

食後に血糖値が急上昇する「隠れ糖尿病」とは

 糖尿病指標のHbA1cが正常でも、油断は禁物です。食後の血糖値が高く空腹時には下がり過ぎている「隠れ糖尿病」の場合があるからです。

 会社員Aさんの1日の食事と血糖変動を考えてみましょう。Aさんは、仕事を始めてから運動をやめたせいか、急に体重が増えてきました。最近、以前よりも疲れやすさを感じています。

 Aさんは朝起きるのが苦手で、食欲がわかないのでコーヒーだけ飲んで出社します。そのため、11時ごろになると空腹感が強くなり、「早く昼休みにならないかな」と仕事に身が入りません。

 そして、昼休みにはラーメンと小ぶりのチャーハンセットを頼み、完食します。すると、午後一番の会議では激しい睡魔に襲われ、眠気をこらえるのに必死です。会議が終わり、16時ごろになると小腹が空いてきたので、「そういえば お土産でもらったチョコクッキーがあったな」とおやつをつまみます。

 Aさんは、それ以外にも会社の引き出しにスナック菓子やチョコレートを常備しています。おやつを食べて少し元気が出たAさんは、1時間の残業の後に同僚と飲みに行きました。ビールで乾杯し、好きな日本酒が置いてあったので頼みます。2時間ほど飲んだり食べたりした後に締めのお茶漬けを食べ、23時ごろに帰宅します。そして、お風呂に入って就寝しました。

 さて、このAさんの血糖値の変動はどうなっているのでしょうか。食べた直後は大きく上昇し、時間がたつと急激に低下するジェットコースターのような動きをしているはずです。急激に下がるときに眠くなり、下がりきってしまったときは、妙にイライラしたり思考が鈍ったりしています。交感神経の緊張と血糖が低いことによる脳の働きの低下が、同時にきているためです。

 また、この低血糖は夜寝ている間にも起きています。特に糖質+飲酒の翌朝には血糖値が下がりやすくなります。夜間も交感神経が緊張するので、眠りが深くなりません。「長い時間寝ているのに疲れがとれない」という方は、夜間の低血糖を疑う必要があるでしょう。

甘いものがやめられなくなりメタボになる仕組み

 血糖値の上昇は、インスリンの分泌を促します。インスリンは「肥満ホルモン」とも呼ばれ、糖質を脂肪に変えて脂肪細胞に蓄える働きをします。そして、血糖値が下がると甘いものがほしくなり、血糖値が上がるとまたインスリンが分泌されて……という繰り返しを招きます。

 肥大した脂肪細胞は、さまざまなホルモン様物質を出して高血圧や糖代謝異常、脂質代謝異常、心血管疾患などを引き起こします。すると、メタボリックシンドロームのでき上がりというわけです。

 しかし、「血糖値を上げない」というちょっとした努力で、将来のさまざまな病気を予防することができます。日々の食生活の見直しで、あなたも健康的なニューライフを始めてみませんか?
(文=西澤真生/ひめのともみクリニック 医師)

西澤真生/ひめのともみクリニック 医師

西澤真生/ひめのともみクリニック 医師

東京大学医学部医学科卒業。東京大学附属病院分院4内科入局。
ボストンに3年間滞在後、細胞膜とタンパク質の研究およびクリニック勤務。


ひめのともみクリニック開院時より内科・栄養療法・栄養解析を担当、これまでに全国3000人以上のデータを解析し、オーソモレキュラー医学に基づいた糖質制限や栄養療法の普及に尽力している。


薬に頼らない医療を目指し、予防医療や病気の根本的な解決を目的に日々診療にあたっている。栄養療法を応用し、幅広い知識と豊富な臨床経験に基づいた総合内科的見地からの的確な治療は、患者さんをはじめスタッフからも絶大な信頼を得ている。


糖質制限食を基本とした食事療法による糖尿病・メタボリックシンドロームの治療、機能性低血糖症、男女更年期症候群、副腎疲労症候群、アレルギー疾患、禁煙外来など。


西澤医師の診察予約をご希望の方は、「ひめのともみクリニックHP」をご覧ください。

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