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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

フライドポテト大好きな人は、うつのリスク大…衝撃の研究結果、ほかの揚げ物は

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
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フライドポテト
「Getty Images」より

 2021年1月、コロナ禍における世界的な物流網への混乱の影響で輸入遅延が発生し、日本国内のマクドナルドでフライドポテトのM、Lサイズの販売が中止され、ニュースなどで大きく取り上げられたことは記憶に新しい。当時、SNSではポテトの販売中止を嘆く声も多数見受けられ、フライドポテトを好む日本人が多いことに驚いた。

 揚げたてのフライドポテトは確かに美味である。しかし、中国・浙江大学の研究チームが、フライドポテトを頻繁に食べていると、うつになりやすいという調査結果を報告し、関心を集めている。

 日本人も常食するフライドポテトにどういったリスクがあるのか、医療法人社団FAM理事長で BIOTOPE CLINIC 院長の苅部淳医師に聞いた。

「フライドポテトなどの揚げものが健康に良くないというイメージは、多くの方が持っていると思います。もちろん頻度にもよるので、揚げ物が絶対悪ということではありません。話題となっている中国の研究では、揚げ物を頻繁に食べることで、うつ病の発生率を12%高めると報告されています。これは、日本人にとっても注意すべき結果だと思います」

 フライドポテトのように高温で調理することで有害な物質が発生するという。

「アクリルアミドができる原因は、食材に含まれる特定のアミノ酸と糖類が、120度以上の高温で加熱調理する際に化学反応を起こすため発生すると考えられています。ジャガイモなどの水分含有量の少ない食材の場合には、特にアクリルアミドが発生しやすいといわれます」

 アクリルアミドは、国際がん研究機関(IARC)において、発がん性の分類で「おそらく発がん性あり」と定義されているが、そのリスクは発がん性だけではない。

「アクリルアミドが神経系のタンパク質と結合することで、神経毒性を示す懸念があることもわかっています。実は、揚げ物に限らず、フライパンやオーブンで食材を焼いた場合でもアクリルアミドが発生するといえます」

 また、高温加熱によってアクリルアミドが発生するのは食べ物だけではない。

「身近なものとしては、タバコの煙にもアクリルアミドが含まれており、喫煙者のみならず、受動喫煙による周囲へのリスクも同様です。医師としては禁煙を進めたいところです」

過剰摂取を避けることが、うつのリスク回避に

 高温加熱でアクリルアミドが発生するのであれば、多くの料理が危険ではないかと不安になるところだが、苅部医師は、適量を心がけることが重要と話す。

「中国の研究では、1日に1食以上の揚げ物を食べていた人と摂取していない人との比較ですので、揚げ物を高頻度で食べることを避けていただければ、大きなリスクはないといえるでしょう。また、うつ病と関連する食品はほかにも多くあり、糖質を多く含むチョコレートやお菓子、ケーキなどの高い脂肪乳製品、プロセス肉も過剰に摂取しないように気をつけていただきたいと思います」

 手軽に満足度を得られるジャンキーな食べ物は健康リスクも大きいことを念頭に置き、適量を心がけることが大事だろう。

「うつ病を改善するためには、タンパク質、ミネラル、ビタミンを摂ることが推奨されますので、魚、オリーブオイル、野菜、果物、全粒穀物などを積極的に取り入れることをお勧めします」

 過剰に恐れる必要はないが、揚げ物の常食は避け、バランスの良い食生活を送ることが、心身の健康に重要だとあらためて示された格好だ。

(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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