著名人推薦のオシャレな金融商品が破綻、一人7百万円の巨額損…だからあなたは騙される!
一時期、ワインファンドという金融商品が話題となっていました。ワインに投資をしてお金を増やす、というと不思議な感じがしますが、仕組みはそれほど難しいものではありません。
味の良いワインは年月が経つほどに値上がりしていきます。生産されたボトルの数には限りがありますが、飲まれていくことで在庫は減っていく一方だからです。そこで、目利きがワインを買いつけ、カーヴ等で保管し高値で売却していくことで儲かる、というのがワインファンドの考えです。
とはいっても、買いつけや売却タイミング、値段に関する専門的知識、保管するカーヴの維持費用などは、個人レベルでは持ち得ないものです。そこで、多数の個人がお金を出資することでその「ワインを買って売る」仕組み、つまりワインファンドが成立します。各個人が出資した金額にもとづき儲けを分け合う仕組みで、もちろん手数料がかかりますが、すべて自分で行う必要はなくなります。
日本では、ヴァンネットというところがほとんど唯一のワインファンドの販売者でした。帝国データバンクによれば、過去25本のワイン投資ファンドが設定され、のべ1989名、金額にして77億4600万円の資金が集められたそうです。
ところが、このファンドの実態はひどいもので、集めたお金できちんとワインを買っていないうえ、配当しなければいけない利回りも架空で設定し、必要なお金は新たな出資者から集めたお金を自転車操業で回していたのです。当然、続けられるはずがありません。
そして2015年12月25日、つまり日本中のカップルがたくさんワインを空けた翌日に、ヴァンネットは関東財務局長から第二種金融商品取引業の登録取り消し命令という“一発レッドカード”を受けました。その後、実際のワイン在庫などがまったく帳簿と合致しないことなどが明らかとなり、3月7日、会社は破産手続きを開始しました。
今回は最近起きた投資トラブルを題材にして、「お金のトリセツ」的に投資の失敗を避けるヒントを考えてみたいと思います。
事前に見分けることは困難
このように自転車操業状態による破綻は、ポンジ・スキームと呼ばれる典型的手法です。MRIインターナショナル(13年、MARS投資)、安愚楽牧場(11年)、エル・アンド・ジー(07年、円天)が同様の手法で破綻しました。MRIは破綻時に1300億円を集めていたといわれ、安愚楽牧場は累積6100億円以上を集めたとされています。