著名人推薦のオシャレな金融商品が破綻、一人7百万円の巨額損…だからあなたは騙される!
「すべて信じない」「全額投資をしない」
もっとも、このワインファンドほどひどい資産管理状態にある金融商品というのはレアケースです。銀行や証券会社で買える公募の投資信託で、実際にはお金が空っぽになっているということはまずありません。複数の金融機関が介在し監督も厳しいため、クロスチェック体制が整っています。個別の株式、公募の投資信託、国債等の債券についても同様です。
ですから、最初のフィルタリングとしては「匿名組合」「私募」と名のつく金融商品は回避しておくほうが無難です。ワインファンドも匿名組合の方式でした。自分が実態をチェックしきれていないうえ、仕組み的にクロスチェック体制も甘いのであれば、販売業者が犯罪を犯す余地が否定できないからです。そういう仕組みを使わずとも資産運用は十分に行えます。
また、「全面的に信用できる」という考え方に立ってもいけません。東芝やオリンパスといった誰でも知っているような大企業でも、不正が露見すれば資産価値は大きく減少します。あらゆる投資対象について、全面的に信用するものではないと心がけてください。
さらに、どんなに信用できると思った商品であっても、「財産の全額を投資しない」ことを徹底してください。老後の資産を全額預けてしまい、致命的な被害を受けてしまうケースも多いです。
どんなに信用したとしても、全資産の4分の1以上をひとつの仕組みに投資してはいけません。仮に4分の1を上限とした場合、最悪の場合でも財産の4分の3は残る余地があります。簡単なルールですが、シンプルだからこそあなたの財産を守ってくれるのです。
お人好しにならない
投資の本質は、他人を信用して資金を出すことで、その成果があれば自分の資産の増加に結びつくということです。そして、それは実際に可能です。
しかし、誰でも信じて疑いもしない「お人好し」は、投資の世界ではただお金を失うことになるでしょう。現代における「お金のトリセツ」としては、
「投資はする。しかし、ひとつのところを信じて全額投じるような愚かなことはしない」
がルールといえるでしょう。ぜひ守ってください。
(文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表)