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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

マンション、低層階住人が上層階&高額住戸住人の「言いなり」は許される?大規模修繕等で

文=山下和之/住宅ジャーナリスト
マンション、低層階住人が上層階&高額住戸住人の「言いなり」は許される?大規模修繕等での画像1「Thinkstock」より

 国土交通省が「マンション管理の適正化に関する指針」と「マンション標準管理規約」を改正しました。これは、マンションの管理規約の作成、実際の運用などに大きな影響を与えるものですが、今回の改正ではコミュニティ形成への積極的な取り組みや外部専門家の活用、暴力団等の排除規定などが盛り込まれています。なかでも専門家などの間で大きな話題となったのが、“議決権割合”に関する改正です。

現状では持分割合か1世帯1票に

 マンションの憲法といわれる「区分所有法」においては、それぞれの住戸の所有者の持分割合は、それぞれの有する専有部分の面積が全体の床面積の何%を占めるかによって決められることになっています。つまり、全体の床面積が2000平方メートルで、その人の専有面積が70平方メートルであれば、持分割合は「70平方メートル÷2000平方メートル」で、0.035(3.5%)です。原則的にはそれが管理組合の総会における議決権割合になります。

 ただし、そうなると議決を判断する計算がたいへん煩雑になります。このため、シンプルに1世帯1票とすることも認められています。

価値割合での議決権設定を可能に

 現行では持分割合か1世帯1票ですが、今回の改正では、「新築物件における選択肢として、総会の議決権については住戸の価値割合に連動した設定も考えられる」としています。

 たとえば、ひとつの新築マンションに5000万円の住戸と3億円の住戸があれば、価値割合で議決権を配分すると、3億円の住戸に住んでいる人は5000万円の住戸の人の6倍の議決権を有することになるわけです。

都心の高額物件を中心に価格差が拡大

 なぜ、こんな方向性が打ち出されたのでしょうか。

 それは、最近の都心部の超高層マンションなどでは住戸の広さ、位置などによって価格差が極めて大きくなっているためです。最近、都心で分譲が始まった超高層マンションをみると、低層部の1LDKは坪単価が500万円台で価格は5000万円台からなのに対して、最上階は坪単価900万円弱で価格は4億円ほど。分譲価格をみると8倍もの差があります。これだけの差があるのだから、議決権にそれを反映させるべきだという考え方です。

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