不動産投資のプロの私がまさかの失敗か…具体例で学ぶ、「絶対に半分は成功する」方法
個人的な願望としては、イスカンダル地域開発庁はもちろん、ジョホール州政府は、ハコモノ行政に偏るのではなく、もっと企業の誘致に重点を置いてもらいたいということ。もちろん尽力はしているはずですが、弱すぎるという意味です。
企業が進出して雇用を創出し、海外駐在員やシンガポール人、学校関係者といった所得の高い居住者が増えれば、外国人が買った高額物件であっても、需要は活性化するでしょう。
一方で私自身が経営者視点に立てば、やはり賃金の安い労働力を使いたいと思うはずで、そうした期待はあまり持てないかもしれないな、と感じています。それに、仮に駐在員が増えたとしても、多数の人が来るとは思えません。そのくらい高価格帯の物件の数が多すぎるのです。
となると、イスカンダル・プテリを始め、旧JB市内以外のイスカンダル重点開発地域で本格的に人口増の恩恵を受けられるのは、高速鉄道が開通する2025年以降の可能性が濃厚です。クアラルンプール(以下、KL)やシンガポールのほうが平均所得は高いため、彼らが移り住んでくれればよいかもしれませんが、あと10年も先で、その計画も遅れる可能性もあります。ちなみに高速鉄道は当初、18年開通予定といわれていました。
また、シンガポールのMRT(大量輸送システム、いわゆる地下鉄)がJBに延伸する計画もあり、これもシンガポールに通勤する人をJBに誘導できる期待の大きいインフラ計画です。JBのコンドミニアムを現金で買った人や移住など実需目的の人はともかく、投資目的、つまりインカムゲインやキャピタルゲイン目的でローンを組んで買った人の多くは、あと10年も返済の垂れ流しに耐える必要があるわけです。いや、耐えられない人のほうが多いかもしれません。
計画が頓挫するリスクはあるのか?
では、イスカンダル計画が途中で頓挫するリスクがあるのか、という点については、これはかなり低いと考えています。
というのも、すでにジョホール州政府庁舎はイスカンダル・プテリに移転していますし、政府やスルタン(王族)の資本が入ったデベロッパーが多数開発しているため、彼らの威信にかけてもひっくり返すということはないでしょう。また、総投資額10兆円という巨額な投資目標に対し、06年からの累計で16年時点ですでに5兆円以上の投資が決定しています(実行ベースでは約3兆円弱)。折り返し地点としては、まずまずのペースといえます。