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健保組合、赤字9400億円の危機…大企業の業績悪化で解散続出、上がり続ける健康保険料

文=編集部
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「gettyimages」より

 11月5日、健康保険組合連合会(健保連)が、新型コロナウイルス感染症が健保財政に与える影響の試算を公表した。2021年度は全体で6700億円、22年度は9400億円の赤字になるとの予想だ。健保組合は大企業の社員らが加入する健康保険組合の全国組織である。大幅な赤字の要因は、企業業績が悪化して従業員の賃金が低下し、保険料収入も減少することだという。

 また、今回公表された試算は、保険料率を20年度の平均9.2%で維持した場合であり、22年度に収支を均衡させるには、保険料率を10.5%に引き上げる必要があるという。22年度から団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始めるため、もともと医療費の増加が見込まれていたが、その「2022年問題」にコロナ禍が追い打ちをかけた格好だ。

 19年4月には、派遣社員やその家族が加入する人材派遣健康保険組合と、全国の生協(コープ)の従業員らが加入する日生協健康保険組合が正式に解散した。いずれも大手健保組合で、被保険者は合計で60万人以上にのぼるとみられている。

 日本の公的医療保険制度は、各自治体の運営でフリーランスや自営業者などが加入する国民健康保険、大企業などが運営する健保組合、中小企業の従業員などが加入する全国組織の全国健康保険協会(協会けんぽ)がある。また、75歳以上になると後期高齢者医療制度に移行し、医療費負担が現役世代の3割から1割に軽減する(現役世代並みの高所得者は3割)。これにより、すべての国民が医療保険に加入できる国民皆保険制度が成り立っているという仕組みだ。

「国保の財政も厳しいですが、近年は大企業の健保組合も苦境に立たされています。そのままでは保険料率が協会けんぽを上回ってしまうため、解散して協会けんぽに移行し、負担軽減を図るケースが増えているのです。特に、以前であれば若い従業員が多かったものの、今は従業員が高齢化していたり、賃金水準が低かったりする業種が厳しいといわれています。健保組合としては、収入が少ないのに医療費がかさむことで、財政が圧迫されているわけです」(医療行政関係者)

 現在、協会けんぽの保険料率は10%。健保組合の保険料率がこれを上回ってしまうと負担が増してしまうため、解散するケースが増えているということだ。言い換えれば、それだけ保険料率が上がり続けてきたということでもある。

 また、現在は10%の協会けんぽの保険料率は、昭和20年代の1947年度に3.6%だったが、右肩上がりで平成に入った90年度に8.4%となり、2012年度からは2ケタとなっている。同様に、健保組合の被保険者1人あたりの保険料も大幅に増えている。少子高齢化の影響が直撃しているのが現実であり、今後も保険料は上がり続けていくと考えるのが自然だろう。

 前出の関係者は「それでも、日本の国民皆保険制度は秀逸なシステムです。今後は、国民負担率の問題を再検証することが大切でしょう」と語る。国民負担率とは税負担率と社会保障負担率を合わせたものであり、日本は42.5%(18年度)だ。

 一方、医療や教育などの社会福祉サービスが手厚いことで知られるスウェーデンは各種税金も高いため、56.9%(15年度)。同様に、フランスは67.1%にも達している。これらの国は、国民に重い負担を強いる代わりに行政が広範なサービスを提供する「大きな政府」といえるだろう。

 また、アメリカの国民負担率は33.3%と低いが、公的保険制度の対象者は高齢者など一部に限定されており、民間の医療保険に加入するのが一般的になっている。そのため、医療保険に入っていない人が2000万人以上もいるといわれており、医療格差が激しいのが現実だ。

 欧米の中間に位置するともいえる日本の医療保険制度は、今後どうなるのだろうか。

(文=編集部)

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