中村芳子「お金のことで苦労せず、人生を楽しむためのお金の基本」(番外編)

貧乏は素敵だ。人生を豊かにしてくれる…金持ちで何不自由ない暮らしは貧しい

「Thinkstock」より

貧乏が怖いとリスクがとれない

 拙著『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(ダイヤモンド社)のプロローグで、私は「貧乏は財産だ。金持ちではない親に感謝しよう!」と書いた。

 たとえば、子どもの頃から必要なもの欲しいものはすべて与えてもらって不自由がない、いい学校からいい会社に入って高い給料をもらうというのは、一見よさそうだが、実はそうでもない。冒険ができない体質になりやすく、今を手放してリスクがとることができなくなる。

 やりたいことが今の会社の外にあっても、1000万円の給料が300万円に、場合によってはゼロになるリスクがあると、動けない。今の快適な生活を失うなんて、想像できない。これからもずっと、安全な道、保証されたことだけを選んで生きていくことになる。これは、あまりエキサイティングな人生とはいえない。小さな失敗で絶望してしまう人もいる。

 しかし、貧乏な生活を経験したことがあれば違う。狭くても古くても住む場所を見つけて、月10万円でなんとか生きていける。頭と体と行動力はある。友達もいる。「失敗してもなんとかなるさ」とリスクをとることができる。貧乏生活に陥ってもあきらめず、希望をなくさずに進んでいくことができる。

 日本でも世界でも、成功者の多くはリスクをとって自分のビジネスをスタートさせ、浮き沈みを経験して乗り越えてきた人たちだ。

耳の聞こえない両親のもとで育った女の子の話

 最近、このことを実感する話を聞いた。

 この女の子は、耳の聞こえない両親の家に生まれた。両親は高校までで、大学卒の学歴がないので、彼女が物心ついた頃から、生活のために忙しく働いていた。韓国の話。

 やがて弟が生まれる。幸運なことに子どもは2人とも耳が聞こえた。2人は両親から手話を学び、テレビや近所の人たちから話し言葉を学んだ。両親は不在がちだったので、テレビが2人の友達で先生だった。彼女は特にドキュメンタリー番組を愛した。見たことのない世界、会ったことのない人たちを彼女に紹介してくれた。

 高校生のとき、彼女は学校に行くのをやめた。不登校。韓国の学校教育は、日本以上の受験文化、詰め込み教育だという。彼女は読みたい本ややりたいことがあったのに、高校に行って言われた通りに勉強をしていたら、自分のやりたいことをやる時間がない、と気付いたのだ。学校に行くのをやめて読みたい本を読んだ。

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

1985年よりFP業に携わる日本のFPの草分け。 女性FP協会(現WAFP関東)の設立者の一人、初代理事長。 1991年に会社を設立。パーソナル・コンサルティング、金融記事の執筆、金融企画のアドバイスなどを行っている。マネックス証券創業時より7年間アドバイザーをつとめる。みずほ銀行の夫婦向けマネーサイト「おうちのおかね」(2010―2016)を監修。辛口だが、お金だけにとらわれないユニークで温かいアドバイスが人気。


主な著書に『50代のいま、やっておくべきお金のこと』『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(以上ダイヤモンド社) 『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方』(三笠書房) などがある。『3日でわかる聖書』『養子でわくわく家族』『神の津波』など、お金以外の著書や翻訳もある。

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