こう話すのは、長年FX取引を行っているベテラン個人投資家だ。
いま国内のFX取引は、2011年に開始された金融庁による「レバレッジ規制」により、レバレッジ倍率が25倍に抑えられている。
この「レバレッジ倍率」とは、投資家がFX取引開始時にFX業者へ納める証拠金=元手に対し、何倍の額まで大きな取引を行うのかという「倍率」のことだ。FX取引は少ない元手で、その何倍もの利益を得られる可能性がある一方、逆に多額の損失を被る可能性もある(後述参照)。それまでFX業者によっては400倍程度までかけられたレバレッジでは、あまりにも投機性が高く、個人投資家が不利益を被りかねないとの理由で、レバレッジ規制が実施されたのだ。
今回は、国内FX業者と、国内に展開する海外FX業者のレバレッジ倍率の違いを通して、「FX取引の仕組み」を見てみよう。
まず、よく耳にする「レバレッジ」とは何かを簡単に説明しよう。
例えば3月30日時点、米ドルのレートは1ドル=82円34銭である。仮に1米ドルという「外貨商品」を買うとしよう。この場合、82円34銭あれば1米ドルが買える。この1米ドルを82円34銭で買う場合は、レバレッジ倍率は1倍となる。
このレバレッジを効かせるとはどういうことか?
極端な例だが、たった1円の担保(FX取引の場合は「証拠金」と呼ばれる)で、82円34銭相当の1米ドルを買うことである。本来、1米ドルを買うには82円34銭の資金が必要なのだが、それだけの資金がなくとも、1円の担保さえあれば、82円34銭の1米ドルという、いわば外貨という商品を購入できる仕組みがレバレッジというわけだ。この、「少ない手持ち資金で効率のよい資金運用ができる」という点が、まさにFX取引の魅力である。