資格不要のカイロプラクティックや整体、頚椎損傷等の重傷事故続出…厚労省が注意喚起
街中では、「カイロプラクティック」「整体」「リフレクソロジー」「リラクゼーションセラピー」「エステティック」「足裏マッサージ」「タイ古式マッサージ」「クイック○○」「加圧トレーニング」「酸素カプセル」などの看板やチラシをよく目にします。
こうしたサロンの常連客になっている方も少なくないでしょう。いずれも10分1000円単位、1時間4000~7000円などと結構な高額料金です。セット料金で数万円などもありますが、最近は供給過剰で1時間2000円などの格安業者も出てきました。高齢化社会でニーズは増えても、それ以上に供給が多いので、開業しても1年で8割が潰れるともいわれています。
ところで、こうした商売は誰でも自由に、なんの経験や知識、資格も届け出もなしに開業できることをご存じでしたでしょうか。「マッサージ」「指圧」「針」「灸」「ほねつぎ」「柔道整復」といった名称でくくられる業態としての施術者が国家資格者であるのに対して、これらに非常に「よく似た」というか「類似した」業態である前述の各種サービスに、まったく規制がないということは、意外に知られていません。
「カイロプラクティック」「整体」「リフレクソロジー」などは、元手要らずの腕一本商売なので“お手軽開業”も目立ちます。住宅街でもカンバンを掲げ、施術ベッドひとつあれば開業コストも抑えられます。高齢者宅への出張施術だけで稼ぐ業者であれば、HPだけつくれば間に合います。あとはチラシを撒くぐらいです。そこそこの施術がお客に気に入られれば儲かる商売なので、脱サラで始める人も多いのです。
こうした施術を行う店舗には、壁に「〇〇資格」などの額装の証明書が飾られている場合があっても、みんな民間資格にすぎません。一部には、勝手に「〇〇資格」「〇〇技術」を標榜している人もいます。人間の体に直接タッチして、いろいろ施術する業種でありながら、基本的に保健所や厚労省などの管理・監督外です。
なぜ「無資格」なのに人体に施術が行えるのか?
本来、人の体に直接行為を及ぼすこと(揉む、押す、圧迫する、刺す、熱する)は、医師のほかには医業類似行為の国家資格者(骨接ぎの柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師)だけにしか許されていない行為でした。これらは医療に準ずる行為として正式に国から認められているため、有資格者は医師の同意があれば健保も使えるのです。料金は上限1500円程度までの患者3割負担なので、保険診療だけでは旨味がなく、自費診療と併用しないとほとんど儲けは出ません。