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今入るべき保険は所得補償保険と介護保険である 愚かな保険選び、間違った検討方法

文=井上信一/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会
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今入るべき保険は所得補償保険と介護保険である 愚かな保険選び、間違った検討方法の画像1「Thinkstock」より
 保険の加入や見直しを検討する場合、まず考えたいのが、「今の生活や将来の生活プランを根底から覆す可能性のある事態」についてだ。看過できないほどの損害を生じさせる潜在的リスクが顕在化する万一の場合に備え、生命保険や損害保険が存在している。保険金や給付金をもらえる確率の高さや、払込保険料と受取給付額の費用対効果で選ぶべきではない。その本質を脇に置いて、保険の必要性や保障額の多寡、ひいては各商品の優劣云々を検証することは本末転倒といえる。

働き盛り世代に必要な保険は、今の“所得”の“補償”

 では、どのようなリスクを考えるべきなのか。

 まず、働いている世代なら、「収入の減少、あるいは収入の途絶」への保障が筆頭に挙がる。当然のことながら、収入があればこそ足元のみならず将来の生活設計も成り立つ。その大前提の崩壊に備えるための保険はマストだ。具体的に、家族にとっては生計者の死亡が考えられるが、死亡保障は老後にも注意が必要なので、詳細は2014年11月18日付当サイト記事『「生命保険の見直しで家計支出削減」のワナ? 老後に生活困窮するケース多数』をご参照いただきたい。

 しかし、死亡には至らずともケガや病気により働けなくなる事態も深刻であろう。実は年金や公的医療保険制度等をはじめとする社会保障制度では、死亡保障に比べ相対的に手当が薄く、傷病手当金のように保障期間が限定的であるか、障害年金のように保障額が充分ではないのも事実。最後の砦が社会福祉政策であるが、活動範囲が狭くなる後期高齢期はともかく、若い世代が生活保護頼みになると、暮らし方の選択肢が極端に狭まってしまう。ただし、選択肢の少ない暮らし方でよいなら、最低限生きていくことは可能だ。

 よって、この世代にマストな保険の1つが、損害保険会社の所得補償保険だ(一部、類種の保険を扱う生命保険会社もある)。この保険は、仕事に従事し所得を得ていた者が、入院の有無を問わず働くことができないと判断された期間にわたり、従前の所得の一定割合を限度として、その喪失所得を毎月補てんする。

 筆者は、「所得補償保険」が世間で認知される前からこの保険の重要性を各所で説いてきた。最近では、ようやくその名を見聞きする機会が増えたが、いまだマイナーな部類の保険である。聞いたことのない人も少なくはないだろう。マイナーなゆえんは、保険会社にとって損害率が悪化する危惧があるため、大々的にセールスしていないことも遠からず影響していると考える。

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