自動車保険選びで多くの人が最初に考えることは、車のディーラーや保険代理店などで対面して加入する「代理店型」にするか、インターネットを通じて自分で加入する「ダイレクト型」にするかであろう。「代理店型」を選ぶ人が挙げることの多い理由の1つに、事故時の対応がダイレクト型では心配というものがある。
自動車保険の初期対応は24時間365日でないのが普通
事故に遭ったとき、保険会社の事故受付センターは24時間365日対応だが、初期対応といわれる保険会社の担当者から事故の相手、修理工場、医療機関への連絡などは代理店型、ダイレクト型とも夜は翌日対応となることが多く、24時間対応を掲げる保険会社は数えるほどしかない。また、初期対応を当日中にしてくれる場合でも、保険会社の担当者は通常、現場に来るわけではない。加入者は事故現場で電話などによりサポートを受けながらさまざまな対応をする必要があるが、事故に慣れていない加入者は不安な気持ちを抱くのが普通だろう。
代理店型に加入すれば、加入時の担当者などに連絡してアドバイスを受けることもできるかもしれない。また、熱心な保険代理店の担当者は事故現場に行くこともあると聞く。ただし、これらは保険会社が正式に提供しているサービスではなく、担当者により対応の程度に大きな差があるだろうし、常に期待できることでもない。
事故現場へのかけつけサービスとは
ところが、このところ自動車保険で広がり出したのが、セコムやALSOKなどセキュリティ会社の隊員が24時間365日対応で事故現場にかけつけてくれるというサービスである。保険会社により違いはあるが、事故現場では主に以下のような内容をサポートしてくれる。
・二次事故の防止のための対処
・警察への連絡や救急車の手配
・事故状況の記録と報告(加入者側、事故の相手側)
・レッカーサービスの手配
・加入者側の質問や要望事項のヒアリング
もちろんこれらは自分たちでやろうと思えばできることなのだが、事故時に隊員が現場に来てくれる安心感が非常に大きいことは想像に難くない。また、目撃者の有無やその連絡先の確認など、わかっていてもその場では気が動転していて漏れそうなことをサポート内容に挙げている保険会社もある。
事故現場へのかけつけサービス導入保険会社と内容拡充
現時点(2017年12月)で、ダイレクト型ではイーデザイン損保、セゾン自動車火災保険、ソニー損保が、代理店型ではセコム損保が事故現場へのかけつけサービスを無料で提供している。また、18年1月から損保ジャパン日本興亜が同様のサービスを含む特約を有料で用意する予定だ。サポート内容は保険会社により多少の違いはあるが、導入後に内容を拡充した保険会社もあり、導入する保険会社が今後も増えていけば内容もより充実することが期待できそうだ。
加入者の事故時の不安を大きく緩和するであろう事故現場へのかけつけサービス。今後の自動車保険選びでは、ダイレクト型・代理店型といった枠にとらわれず、このサービスの有無をまずチェックすることがスタンダードになるかもしれない。
(文=平野雅章/横浜FP事務所代表、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)