一方、10万円のカードの支払いを、キャッシングにより充当した場合はどうだろうか?仮にキャッシングの年率が18%だとしても、1カ月後にそのキャッシングを返済することができたなら、金利分は、
・10万円×18%÷12カ月=1500円
で済むことになる。なんと、リボ払いと比べて、5000円以上も負担が少なくなるのである。キャッシングが1カ月後には返済できなくても、ボーナスが出る3カ月後なら返済できる場合もあるだろう。最悪、半年先のボーナスで返済することとなっても、リボ払いよりキャッシングやローンで充当するほうが、トータルの返済額は少なくて済むのである。つまり、返済期間が長くなるということは、非常に不利なのだ。
よく、リボ払い額を5000円くらいに設定して、年に何度も海外旅行に行ったり、ブランド品をポンポンと買っている人も見かけるが、そういう人は延々と金利を支払い続けていることになる。計算してみると、恐ろしい金額を払っていることに気付くだろう。
現在、各カード会社の経営はかなり厳しい。国内の消費は盛り上がらず、カードの利用金額は減少傾向で収益が減ってきているためだ。そこで、ゴールドカードやプラチナカードの入会基準を緩くして、入会者を増やし、入会金や年会費などで利益を上げる戦略を摂ったが、それほど入会者は増えなかった。今どき1万円以上の年会費を支払って、見栄を張る人も少なくなっている。
そこで、次にカード会社が採った戦略は、リボ払いを増やすことだった。リボ払いの金額を毎月自由に設定できるようにしたり、リボ払いにすると通常よりも多いポイントをつけたりと、あの手この手で利用者を増やそうとしている。「リボ払いにするとポイントが2倍!」などと言われると、なんとなく得した気分になるが、それは大きな誤解である。
サラリーマンの場合、毎月の生活費の不足額をカードの利用やキャッシングなどで補って、ボーナスで負債分を一気に返済するという人も多いだろう。その戦略は、あながち間違いではない。ただし大前提として、給料の範囲内で毎月生活をすることが、まずは大切であることを忘れないでほしい。
(文=松岡賢治/フィナンシャル・プランナー)