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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

住宅ローン「控除」でお金を貯める方法

文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士

 なお、確定申告の申告期限は3月15日ですが、年末調整のみで完了している会社員の方は、その年の確定申告が申告期限に間に合わなかった場合でも、住宅ローン控除などによる還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。期限が過ぎたからといってあきらめずに手続きしてみましょう。なお、上記の(1)の書類「住宅借入金等特別控除申告書(兼)年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」は、10年分がまとめて送られてきます。なくさないようにしましょう。

住宅ローン残高の1%を控除できるとは限らない?

 住宅ローン控除の上限は年40万円で、期間は最長10年。つまり、最大で400万円の税額控除が可能となりますが、必ずしもこの枠を全額使えるとは限りません。

 たとえば、年末のローン残高が4000万円のとき、控除限度額は上限の4000万円×1%で40万円。

 でも、仮にその年の住宅ローン控除前の税金が所得税9万円、住民税が19万円で合わせて28万円だった場合、40万円分の控除は利用できません。税額控除はあくまでも税金を軽減する仕組みで、納めた税額以上に還付されることはないからです。また、住民税から差し引くことのできる控除額には住民税独自の上限額があるからです。具体的には、住民税の控除限度額は、13万6500円、または所得税の課税総所得金額等(※)×7%となっています。

(※)会社員の方で給与所得のみの場合、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いた金額が、課税総所得金額等に該当します。

 つまり、上記の例について実際に控除できる税額(住民税からの控除限度額は13万6,500円と仮定)を計算すると、

所得税9万円 + 住民税 13万6500円 = 22万6500円

となります。住宅ローンの年末残高から計算した控除可能額は40万円でも、実際に控除できるのは22万6500円となるわけです。所得税を多額に納付している場合には控除可能額を全額控除できるかもしれませんが、控除できる額はそもそもの税金の納付額によって異なる、という点には注意が必要です。

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。
企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。
また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。
さらに、中央大学商学部客員講師として大学で教壇に立つなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう!』 『「1年続ける」勉強法―どんな試験も無理なく合格!』(共にダイヤモンド社)、『相続はおそろしい (幻冬舎新書)』(幻冬舎新書)、『1日15分! 会計最速勉強法』(フォレスト出版)、『競わない生き方』 (ワニブックスPLUS新書)、『5人の女神があなたを救う! ゼロから会社をつくる方法』(税務経理協会)など、著書多数。
合同会社アールパートナーズ

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