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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

家を買うなら10月までに契約?死ぬほどお得な「グリーン住宅ポイント」で高級家電などをゲット

文=山下和之/住宅ジャーナリスト
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グリーン住宅ポイント事務局ホームページより

 2021年3月からスタートしている「グリーン住宅ポイント」制度。一定条件を満たす新築住宅の建設や購入、中古住宅の購入、住宅のリフォーム、また賃貸住宅の新築などにポイントが付与されます。最大では1戸当たり100万ポイントで、取得したポイントは家電品などの商品に交換できるほか、購入や建築、リフォーム契約を行った業者が提供する追加工事に充当することもできます。皆さん、どんなふうに利用しているのでしょうか。

1戸当たり最大では100万ポイントが付与される

 グリーン住宅ポイント制度は、住宅の取得を促進し、それによって景気を刺激するために実施されています。対象となるのは、(1)新築住宅の建設や購入、(2)中古住宅の購入、(3)住宅のリフォーム工事、(4)賃貸住宅の建設――の4種類で、それぞれ付与されるポイントは異なりますが、(1)の新築住宅の場合、認定長期優良住宅などの省エネ性能の高い住宅が対象で、基本は1戸当たり40万ポイントですが、三世代同居、多子世帯などの条件にあてはまる場合には、特例として100万ポイントになります。

 これから住宅の取得やリフォームを考えている人にとっては、たいへんメリットの大きい制度なので、ぜひともこの制度の対象となる購入やリフォームを行ってポイントを取得し、有効に活用していただきたいものです。

6月末段階で予算の消化率は3%未満にとどまる

 このグリーン住宅ポイント制度、2021年3月末からスタートしましたが、対象となるのは2021年10月末までに契約した物件に限られます。国土交通省では、その実施状況を月に1回公表していますが、その最新のデータである2021年7月15日に公表された、21年6月末現在のポイントの付与実績は、図表1にある通りです。

 スタートから6月末までの累計では、合計約29億円相当のポイントが付与されています。予算枠は1094億円ですから、予算の消化率はまだ3%にも満たない水準で、枠に余裕があるので、積極的に活用していただきたいものです。

 取得したポイントは、各種の商品に交換できるほか、契約した業者が提供する追加工事に充当することができますが、さて、皆さん、実際にはどんな商品に交換したり、どんな工事を行っているのでしょうか。

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家事負担を軽減する商品への交換がトップに

 まず、商品交換については、「『新たな日常』に資する商品」「省エネ・環境配慮に優れた商品」「防災関連商品」「健康関連商品」「家事負担軽減に資する商品」「子育て関連商品」「地域振興に資する商品」が対象で、実際の交換状況は図表2にある通りです。

 最も多かったのは、「家事負担軽減に資する商品」の45.94%でした。具体的な商品としては、ロボット掃除機、ハンディタイプの掃除機などがあります。次いで多かったのは、「『新たな日常』に資する商品」の20.24%で、「健康関連商品」が14.61%、「地域振興に資する商品」が11.03%で続いています。

 このうち「地域振興に資する商品」のなかには、各地の名産品として牛肉や魚介類なども含まれていますし、お酒類などもあります。ですから、新居への引越し祝いに、ふだんはなかなか口にできない高級食材やお酒などを取り寄せて、家族で楽しむのもいいかもしれません。外出しにくい環境ですから、せめてものご褒美というところでしょうか。

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アップルのタブレットもベスト10に2品目

 では、実際にどんな商品に交換しているのかといえば、総合ランキングのベスト10は図表3にある通りです。

 ベスト10の顔ぶれをみると、10品目のうち5品目をロボット掃除機のルンバが占めています。交換ポイントが13万ポイントのルンバのなかでも上位機種が1位に挙がり、6万4000ポイントの比較的リーズナブルな機種まで、さまざまな機種がランクインしています。いずれにしても、新居への引越しにあたって、住まいのなかを少しでもきれいにしてくれるルンバを手に入れておこうということのようです。そのほか、10位にはダイソンのコードレスクリーナーも入っています。

 まさに「家事負担軽減に資する商品」の典型であり、家事負担の軽減で女性の社会進出を後押しする狙いは、ピッタリ当たったといっていいのかもしれません。そのほか、アップルのiPadが2品目入り、布団や布団乾燥機などもベスト10に入っています。

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交換商品総合ランキング | グリーン住宅ポイント ポータルサイト | えこぽ (eco-po.com)

食品関係では肉や魚介の高級食材が上位に

 ベスト10には食品などは入っていませんが、参考までに肉類のランキングをみると、1万ポイントの仙台の仙台牛タンセットが1位で、2万ポイントの宮崎牛のロースステーキが2位、4000ポイントのハムソーセージ詰合せが3位に入っています。魚介類では、1万4000ポイントの生ずわいがに、3000ポイントのロッキーサーモン、1万1000ポイントの辛子明太子がベスト3でした。

 やはり、ふだんは高額で簡単には手に入れにくい高級食材が並んでいます。住宅の新築や購入などは、人生にそう何度もあることではないでしょうから、たまにはそんな贅沢もいいのではないでしょうか。

追加工事で太陽光発電設備を設置する人が多い

 一方、追加工事に関しては、図表4にあるように、「家事負担軽減に資する工事」が34.74%のトップで、それを「停電・防水対策」が30.16%で追いかけています。3位には、「空気環境向上工事」が入りましたが、17.39%と上位にやや水を開けられています。

 トップの「家事負担軽減に資する工事」の具体的な内容をみると、「キッチン周りの設備の設置」「家事負担を軽減する収納の設置」が双璧ですが、「浴室周りの設備の設置」「トイレ周りの設備の設置」などもあって、比較的分散しています。

 2位の「停電・防水対策」では「太陽発電の設置」が圧倒的に多く、ついで「家庭用燃料電池の設置」「蓄電池の設置」などが続いています。2050年カーボンニュートラルに向けて、家庭の省エネが重要な課題ですから、太陽光発電の設置は理に適った動きといっていいでしょう。

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別途工事を依頼するより安くつく可能性が高い

 そんななかで、コロナ禍で需要が多いのではと予想された「ワークスペース設置」は1割に満たない結果でした。ワクチンの浸透や治療薬の開発などでいずれ新型コロナウイルス感染症が抑制できれば、ワークスペースへのニーズは減少するかもしれません。一時期なものに終わってしまう工事にお金をかけるのはどうかという人が多いのではないでしょうか。

 ただ、いずれにしても、この追加工事のメリットは、新築や購入、リフォームなどの契約を締結した業者に追加工事を依頼する形ですから、別途専門業者に工事を依頼にするのに比べると比較的低予算で対応してもらえる可能性が高いといわれています。

 業者にしても営業の手間ヒマをかけずに大量受注できるので、コストダウンが可能ですし、利用者も手間ヒマを削減できて、より満足度の高い追加工事を実現できるかもしれません。

 それに対して、先の商品交換のポイントは、提供するメーカーの希望小売り価格に近い水準であり、量販店などに足を運べば、もっと安く手に入れることができるともいわれています。その意味では、もう少し追加工事を見直してもいいのかもしれません。

(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)

山下和之/住宅ジャーナリスト

山下和之/住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(執筆監修・学研プラス)などがある。日刊ゲンダイ編集で、山下が執筆した講談社ムック『はじめてのマンション購入 成功させる完全ガイド』が2021年5月11日に発売された。


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