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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

盗難や災害にあったら、払う税金を安くできる!

文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士

雑損控除を適用

雑損控除:1.と2.の大きいほう
1.損失金額500万円 - 総所得金額等306万円×10%=469.4万円
2.災害関連支出(原状回復のための費用など)の金額0円 - 5万円=△5万円

今回は災害関連支出がないので2.はマイナスとなり、1.を採用することになる。

所得控除:105.5万円(社会保険料+基礎控除)+469.4万円(雑損控除)=574.9万円
所得:総所得金額等306万円 - 所得控除574.9万円 =△268.9万円
税金:所得がマイナスのため0円

 雑損控除を適用すると所得がマイナスになるので、雑損控除を適用しない場合に負担するはずだった約30万円の税金負担がなくなります。また、所得金額から差し引きしきれない損失がある場合には、その金額を翌年以後3年間繰り越すことができます。つまり、損失を使い切るまで今年を含め4回、雑損控除を適用し、税金の負担を軽減することができるということです。

 なお、このケースは災害関連支出がない場合の計算結果です。震災や台風、雪の被害などによって災害関連の支出がある場合には計算方法が異なります。災害時の雑損控除については次回詳しく説明します。

振込詐欺には適用できない

 そもそも雑損控除とはどのようなときに適用できる制度なのでしょうか。

 雑損控除は災害・盗難・横領という大きく3つの発生原因によって被害を受け、損失を被った場合に適用することができます。振込詐欺のような詐欺や脅迫といった発生原因による損失は、雑損控除の適用対象となりませんので注意してください。また、災害についてなんでもかんでも損害として認められているというわけではありません。適用対象となる災害を整理すると以下のようになります。

盗難や災害にあったら、払う税金を安くできる!の画像2

 雑損控除を受けるためには、確定申告が必要です。確定申告書にはその年の給料や支払った社会保険料などの金額を会社から交付される源泉徴収票をもとに記入し、雑損控除の欄に控除額を記入して最終的な税金を計算します。

 また、確定申告書を提出する際には、源泉徴収票、災害を受けた資産の明細書、災害関連支出の領収書、災害・盗難・横領にあったことの証明書(消防署や警察署から交付されたもの)などを一緒に提出する必要があります。

 なお、確定申告をして雑損控除を受けていれば、住民税も自動的に軽減される仕組みとなっています。

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。
企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。
また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。
さらに、中央大学商学部客員講師として大学で教壇に立つなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう!』 『「1年続ける」勉強法―どんな試験も無理なく合格!』(共にダイヤモンド社)、『相続はおそろしい (幻冬舎新書)』(幻冬舎新書)、『1日15分! 会計最速勉強法』(フォレスト出版)、『競わない生き方』 (ワニブックスPLUS新書)、『5人の女神があなたを救う! ゼロから会社をつくる方法』(税務経理協会)など、著書多数。
合同会社アールパートナーズ

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