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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

盗難や災害にあったら、払う税金を安くできる!

文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士
盗難や災害にあったら、払う税金を安くできる!の画像1「Gettyimages」より

 今回は雑損控除について、女性公認会計士コンビ、先輩の亮子と税務に強い後輩の啓子が解説していきます。

亮子「そういえば先日、知人から『昔、電車で寝ている間にバッグを盗まれた』という話を聞いたのだけど、盗難って実は身近にありうる話だよね」

啓子「はい。そして盗難にあった場合には雑損控除によって税金を軽減できる可能性があります」

亮子「実際には、なかなか冷静に『税金を軽減しよう』という気になれないのだろうけれど、そうした制度を利用して、少しでも負担が軽くなるといいね」

啓子「知っておいて損はありませんから、整理してみます!」

もしも500万円、盗難にあったら……

 不幸にも空き巣やひったくりなどの盗難にあった場合に、被害者が負担する税金を軽減する方法があります。それが「雑損控除」という制度で所得控除の一種です。お金が盗まれたら、所得が減ることになるので、その部分は税金負担を軽減するために調整しましょうという趣旨です。所得金額から盗難による損失額を差し引くことで負担する税金が軽減されます。

 それでは、どれぐらい税金負担が軽減されるのでしょうか?

 たとえば年収450万円の会社員が現金500万円の盗難にあった場合で試算をすると、所得税・住民税あわせて約30万円の税金が軽減されます。具体的には次のように計算をしていきます。

・雑損控除を適用しない場合の税金(概算)

総所得金額等:年収450万円 - 給与所得控除144万円 = 306万円
所得控除:社会保険料67.5万円 + 基礎控除38万円 = 105.5万円
所得:総所得金額等306万円 - 所得控除105.5万円=200.5万円
税金:所得200.5万円× 税率20% -控除額9.75万円 =30.35万円

※雑損控除以外の所得控除は、社会保険料(収入×15%で計算)、基礎控除38万円のみを想定しています。個々の事情によって計算結果が異なりますのでご留意ください。
※所得税率10%、住民税率10%あわせて20%で計算をしています。
※説明を簡略化するため、住民税は厳密な計算方法と異なります。

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。
企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。
また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。
さらに、中央大学商学部客員講師として大学で教壇に立つなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう!』 『「1年続ける」勉強法―どんな試験も無理なく合格!』(共にダイヤモンド社)、『相続はおそろしい (幻冬舎新書)』(幻冬舎新書)、『1日15分! 会計最速勉強法』(フォレスト出版)、『競わない生き方』 (ワニブックスPLUS新書)、『5人の女神があなたを救う! ゼロから会社をつくる方法』(税務経理協会)など、著書多数。
合同会社アールパートナーズ

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