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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

火災保険、来年1月の保険料アップ前に見直しを!地震や浸水で補償を受け損ねないために!

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー

地震保険火災保険付帯率は約6割

 火災保険で忘れてはいけないのが、地震や噴火そのものによる被害は、地震保険を付帯するか火災保険の「地震火災費用保険金」に関する特約を付加していなければ補償されないという点だ。前述の水災なども、地震が原因で起こったもの(津波など)であれば、補償範囲に含まれていても補償されない。

 というのも、地震の発生は統計的な予測が難しく、発生時の被害が甚大になりがち。火災保険の補償内容に含めてしまうと、保険料算定が難しくなるからだという。そのため、地震については、火災保険とは別に「地震保険」に加入する必要がある。地震保険は単独で加入することができず、火災保険の特約として付帯するかたちで加入する(少額短期保険の地震補償保険ならば単独で加入可)。

 以前は低かった地震保険の加入率だが、相次ぐ自然災害で消費者の意識が高まり、2017年度の火災保険加入者のうち地震保険を契約した人の割合(付帯率)は63%まで上昇した(出所:損害保険料率算出機構)。

 とくに、宮城県(86.3%)や高知県(85.2%)、宮崎県(80.3%)など、地方によっては、8割以上の世帯が火災保険に付帯している。

 一方で、付帯率と同じく地震保険の普及度合いを示す地震保険の世帯加入率は31.2%(2017年度)。この指標は、全世帯に対してどの程度の世帯が地震保険を契約しているか計算したものだが、共済等に加入している世帯は含まれないため、付帯率と比較すると低い傾向にある。

地震保険に加入しておいたほうが良い人は?

 火災保険の加入率はだいたい約8割程度だから、付帯率6割となると、共済も含めても地震に対する備えがある世帯は半数に満たない。

 とはいえ、地震保険を付けるべきか否かは、その人の考え方次第。

 地震保険に加入していても、契約金額は火災保険の契約金額の30~50%の範囲内で、建物5000万円、家財1000万円が限度となっており、すべてが補償されるわけではない(火災保険の地震保険積み増し特約で、100%まで補償額を引き上げられる商品もある)。

 また、自然災害によって住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた場合、利用できる公的支援制度もある。「被災者生活再建支援制度」は、被害の程度に応じて支給される基礎支援金(最高100万円<全壊の場合等>)と住宅の再建方法に応じて支給される加算支援金最高200万円(建築・購入の場合)が受け取れる。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
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