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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

火災保険、来年1月の保険料アップ前に見直しを!地震や浸水で補償を受け損ねないために!

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
火災保険、来年1月の保険料アップ前に見直しを!地震や浸水で補償を受け損ねないために!の画像1「Gettyimages」より

 前編に引き続き、今回も火災保険で知っておきたい知識をご紹介したい。後編は、火災保険や地震保険の補償選びのポイントについてである。

火災保険は、「建物」と「家財」で別々に加入する

 火災保険には、おおまかにいえば、ベーシックな補償のみの「住宅火災保険」と、住宅を取り巻くさまざまなリスクを総合的に補償する「住宅総合保険」との2つがあり、加えて各社独自の補償が用意されている。

 いずれにしても、まず確認しておきたいのは「保険の目的」と「補償範囲」だ。保険の目的とは、その保険が何を対象にしているかということ。火災保険の大前提として、建物と家財で補償内容が分かれている。両方につけるか、一方のみにつけるかを選べるのだ。

 建物の火災保険には加入していても、家財も一緒に加入している人はそれほど多くない。この場合の家財とは、主に家具や家電製品、衣服など。貴金属、美術品、骨董品など、30万円を超える資産価値がある高価な品物は、通常の契約では補償されず、別途特約をつける必要がある。

「家財まで補償が必要?」と感じる方もいるだろうが、たとえば、落雷で瞬間的に高圧電流が流れ、家電製品が壊れた、家の中が水災で水浸しになって、家具や家電製品が使い物にならなくなった等、家財の破損リスクは日常的に潜んでいる。筆者も何度か大地震の経験があるが、食器棚や洋服ダンス、本棚、冷蔵庫、パソコン、液晶テレビなどが倒れ、本当に室内はめちゃくちゃになってしまう。建物に比べて家財は被害の認定が受けやすく、補償額が低いだけに保険料も安いのだ。

居住地域や居住タイプによって補償を選ぶ

 また、火災保険の補償範囲が幅広いことは前述した通りだが、注意点としてはすべてをつける必要はないということ。

 たとえば、家が浸水し被害を受けた場合の損害を補償する「水災」は、最近増えている自然災害による被害の一つ。大雨による洪水や土砂災害などが主なものだが、下水や排水路などの「内水氾濫」で建物や道路が浸水することもあり、都市部でも安心はできない。とはいえ、タワーマンションやマンションの上層階は床上浸水などの可能性は低いだろうから、優先順位は低くなると考えられる。

 このように、自分の居住地域や住居タイプのリスクに応じて、補償内容を選ぶということが保険料の観点からも重要なのだ。なお、自分の住んでいるところが危険なエリアかどうかは、自治体が出している「洪水ハザードマップ」や「土砂災害ハザードマップ」などで確認できる。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
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