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とにかく、急にやってきたりょうちょうを会社内に入れてしまい、経理担当の若い社員はピンチに陥ります。なにせ、社長は重役出勤でまだ会社にいません。怖いおじさんたちの質問や依頼に、一人で対応しなければいけないのです。
もちろん、社長の自宅にもりょうちょうは行っています。しかし、年収1億超えのイケイケの社長が自宅に帰る日は少なく、その日も“特殊関係人”の家にいました。愛人です。愛人宅でりょうちょう襲撃の連絡を受けた社長は、急いでどこかに向かいました。
通常、特殊関係人の家にも職員が向かうはずですが、従業員にもなっていないただの若い女性の存在を把握することはできなかったようです。社長が向かった先は、不正蓄財の隠し場所でした。現金で2億円です。どこに隠していたのかは知りませんが、結果的に、このお金は納税資金に充てられることとなります。
その日から1週間ほど調査は続きました。最初は20人ほどの職員が投入され、その後は5名ほどが来ていたようです。帳簿をはじめ請求書、従業員名簿、通帳など、ありとあらゆるものを会社のコピー機でコピーしていきました。
否認項目としては、売上除外と架空外注費。すべて社長に対する認定賞与として処理されました。売上を簿外口座に入金し、それを社長が好き勝手に使っており、それが売上除外として、また主要取引先に取引のない業務の請求書を発行させ経費を水増し、それが架空外注費として認定されたものです。
納税額は本税だけで1億円を超え、重加算税と延滞税、地方税を合わせると2億円近くなります。ただ、法人設立から期間が短く、事業が活況を呈してからの年月も数年だったため、遡及年数は5年となりました。
社長が心を入れ替えたかどうかは知りませんが、より一層事業に集中し、納税額の何倍も稼ぐことを従業員に誓っていたとのことです。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)
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