元国税局職員、さんきゅう倉田です。書き初めには「耐用年数」と書きました。
芸人として社会生活を送っていると、代表取締役社長と知り合う機会が多々あります。個人事業主に毛の生えたような社長から上場企業の系列会社まで、さまざまな社長がいますが、それほど役員報酬に違いはないようです。
逆に、小さい会社のほうがワンマンで役員報酬を設定できることから、年収が1億円を超えることもあり、上場企業でも3000万円くらいのこともあり、売上規模と役員報酬に相関関係はないように思えます。
小さい会社の社長たちのなかでも、1億円以上の役員報酬をもらっている人は、自分の会社をある程度自由に操ることができます。経理担当者もほかの役員も社長の“傀儡”状態で、不正もやりたい放題かもしれません。そのような会社には、税務署管轄であっても税務署の職員ではなく資料調査課、通称“りょうちょう”がやってきます。今回は、知人の会社にりょうちょうがやってきた話です。
予告なしでやってくる恐怖のりょうちょう
りょうちょうは朝、突然会社にやってきたそうです。通常の税務調査は事前に予告し、無理なスケジュールを強行することもなく仲良く始まりますが、りょうちょうが来るときはそうはいきません。
一部の先輩によると“ミニマルサ”などと呼んだりもするそうで、逮捕を目的とはしていなくとも、必ず大口の不正を見つける強い意思を持った人たちの集まりです。人数、調査する場所、徹底した反面調査など、並の社長であれば身が縮こまってしまうことは間違いありません。この会社も、税理士に連絡する前にりょうちょうを会社内に迎え入れてしまい、調査を始めさせました。あとから「先生、どうすればいいですか?」と税理士に電話するなど、てんやわんやです。
税理士も、業種や売上の伸び、社長の性格から、大口の不正を想定して、りょうちょうが来ることを予想して対策を立てるべきでした。ただ、不正の事実を知っていて放置していれば、顧問税理士として責任を負わねばなりませんから、その塩梅は難しいのかもしれません。