最近、社会問題化している“空き家”の増加。総務省の調査によると、2013年の空き家は全国で820万戸だったのが、18年には846万戸に増え、その割合は住宅全体の13.6%に達し、今後さらに増える見込みだという。人口減少、少子高齢化が急速に進み、新築を望む人が多い日本において、空き家の増加はますます進んでいくことになるだろう。空き家は、人が住んでおらず管理もされていない家で、倒壊の恐れ、治安の悪化等、防災、衛生、景観等に深刻な影響を及ぼしている。
国は14年11月に「空家等対策特別措置法」を制定した。適切な管理が行われていない空き家等の活用を促進するため、基本指針を策定し、市町村による空き家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としている。
この法律において「特定空家等」とは、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等」をいう。特定空家に該当すると、土地に対する固定資産税の軽減措置がなくなり、通常の更地と同じ税金が課せられる。また一定の条件を満たす空き家を譲渡した場合の3000万円の特別控除の適用も受けられなくなるおそれがある。
現在、空き家は東京23区で12%、都市部で15%、神奈川県15%、埼玉県16%、千葉県5%もあるのに、大量の新築住宅の建設が続いている。新築住宅だけでなく、中古住宅にも購入希望を広げれば、このような空き家問題もなくなるのではないだろうか。
人生の三大資金
人生でもっともお金がかかるのは「住宅取得」「子どもの教育」「老後生活」である。これらに必要な資金を「人生の三大資金」といい、それぞれ何千万円も用意しなければならない。住宅購入の際には、頭金を用意できるか、ローンを返済できるか、ローン返済中に収入減少、事故や病気になったらと、不安が多い。安い物件だと交通の便が悪かったり、環境が悪かったりし、逆に住環境が良いと値段が高くなる。住宅資金がほかの資金や生活を圧迫しないためにも、安くて環境の良い所に住みたいものだ。そのためには、値段の高い新築住宅ではなく、中古住宅を考えてみてはどうだろうか。