米国で中古住宅を購入した筆者の場合
米国の西海岸カリフォルニア州では、便利で環境の良い場所で新築の建物はほとんど売られてない。土地の細分化が禁止されているため、日本のように1軒の家が売られると、その場所に3軒の家が建つということはない。環境、交通の便の良いところにはすでに家は建っているので、中古住宅として売買される。
筆者は米国に約8年間住み、住宅を購入した経験から、手入れや修繕がきちんとされている中古住宅は、新築住宅と変わらず安心して住むことができる。家の精密な検査(インスペクション:シロアリ、カビ、ボイラー、冷暖房設備、屋根、土台、上下水道、電気系統等の検査)及び洪水、危険物などの環境的危険度調査(ハザードチェック)は制度上、しっかりと行われており、家の状態がわかるので、中古住宅を買っても問題はない。結局、筆者は築39年の中古住宅を購入し帰国まで5年間住んだが、故障等なく問題はなかった。また、買ったときより高く売れた。
このように、徹底して中古住宅の検査を公的機関が行うことにより、消費者は安心して中古住宅を購入することができるのではないだろうか。
中古住宅購入のメリット
(1)日本では中古の建物は価値が無いと考えられているので、ほとんどの中古住宅は土地の価値だけで売買価格が決められている。従って、建物の分だけ安く購入できる。
(2)消費税がかかるのは新築の建物だけなので、中古住宅を買った場合は土地にも建物にも消費税はかからない。ただし、不動産業者が売り主の場合は課税業者なので、中古住宅でも消費税がかかる。
(3)小さい子供がいる場合、新築だと傷つけないか、落書き等で汚さないかと気を使うが、中古住宅だとそれほど気を使わなくてすみ、親子とものんびりできる。
収入が伸び悩む現在、住宅ローンが払えなくなり、困窮している人がかなりいるようだ。また、そこまでいかなくても、ほかの生活資金を圧迫して住宅に多額の資金を使い、不安な日々を送るのはいかがなものだろう。ゆとりのある生活は精神衛生上、欠かせない。メリットがあり、社会的にも有益な中古住宅の購入を考えてみるのはいかがだろうか。
(文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会)