●注目が高まるネット銀行
11月13日に経団連が発表した大手企業の今冬のボーナス調査によると、同日時点ですでに妥結した76社の平均支給額は82万2,121円と、前年より5.79%増えた。全体的に“増額ムード”漂う冬のボーナスシーズンである12月を迎え、支給されたお金をどのように使うのかについて考えている人も多いのではないだろうか。
ボーナスの使い途としては、旅行やお買い物などが王道として頭に浮かびやすいが、将来のための貯蓄に回すというのも一つで、ボーナスを機に定期預金口座の開設を検討している人も多いという。
近年は、スマートフォン(スマホ)の普及によりネットバンキングの利便性が増し、振込や入金確認などをスマホで行う人も増えてきているが、このような中で今注目を集めているのが、実店舗を持たずにネットでのみサービスを提供する「ネット銀行」だ。もともとはパソコンでサービス提供を開始したジャパンネット銀行やイーバンク銀行(現楽天銀行)が人気の火付け役となり、現在では多くのネット銀行がスマホユーザー向けにサービスを提供している。
●キーワードは「高金利」「信頼性」
ネット銀行のメリットは、ネットでいつでも手軽に利用できるという利便性だけではない。
大手都市銀行などと比較すると、ネット銀行は預金金利が高い傾向にあり、都市銀行の預金金利が0.02~0.03%なのに対して、ネット銀行は0.2~0.3%程度の金利で貯蓄できるケースが多いのが特徴。従来の銀行預金では金利が低いゆえに利息が少なく、長期的に貯蓄をしてもメリットがなかなか実感しにくいため、ネット銀行を活用する人が増えている。
●スマホ対応サービスに差
スマホが人々の生活に密着しつつある中、ネット銀行の中にも、ユーザーがいつでもどこでもスマホで銀行サービスを利用できるようにサービスを充実させる動きが広がっている。
例えば、じぶん銀行、ジャパンネット銀行、楽天銀行、ソニー銀行、住信SBIネット銀行という大手ネット銀行5行のうち、スマホアプリを公開しているネット銀行は、じぶん銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行の3行である。
そこで、これら3行のスマホ対応サービスを比較してみよう。なお、3行とも専用アプリをiOS向け、Android向けにそれぞれ用意しており、預金者は無料で利用することができる(通信料・取引手数料は除く)。
(1)じぶん銀行
三菱東京UFJ銀行とKDDIが共同で出資しているネット銀行・じぶん銀行のアプリは、同行のすべてのサービスをひとつのアプリから利用できるのが特徴。残高照会、入出金記録の照会、振込はもちろんのこと、定期預金の作成、外貨預金の残高照会も同じ入口から利用することができ、同行に持っている口座を一元管理することができる。自分自身の資産がどのような状況になっているかは、複数の口座を持っていると整理がなかなか難しいが、じぶん銀行はそれをアプリひとつでまとめて管理できるのが便利だ。
また、最近のスマホは電子マネーチャージに対応している場合が多いが、ネット銀行から自分のスマホにチャージできるのは便利。モバイルSuicaなどのチャージは手数料無料だ。口座開設に書類送付が不要で、スマホだけで開設できる点や、ATMロックという独自のセキュリティ機能もあり、すべてスマホから設定できる。サービスを利用するためのあらゆる機能を盛り込んでいて、最近では「ネットバンキング・アクセスの68%がスマホ経由」「口座開設アプリで口座開設が2割増加」という点を評価され、米国の銀行・金融業界団体BAIより「革新的ビジネスモデル特別賞」を邦銀で初受賞した。スマホユーザーにとっては利便性の高いサービスだといえるだろう。