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「収益不動産の運営」で資産防衛と利益獲得を両立…相続税を圧縮しつつ家賃収入

文=新刊JP編集部、監修=税理士法人 深代会計事務所 副所長・横山洋昌
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『地主の決断 これからの時代を生き抜く実践知』(松本隆宏著、サンライズパブリッシング刊)

 先祖代々受け継いできた土地と資産を守り、子の代に受け継ぐのが「地主」の使命。しかし、「相続が3代続くと資産はなくなる」といわれるほど相続税の高い日本において、これは難しい仕事でもある。

 土地を守るためには、いかに土地を使って収益を得るかが最重要課題。本企画「土地と資産を守り抜け!今知るべき地主の心得」では『地主の決断 これからの時代を生き抜く実践知』(松本隆宏著、サンライズパブリッシング刊)からそのための知識を授ける。最終回となる今回は地主のキャッシュフロー改善のための強い味方となりうる収益不動産の運営について。その魅力とリスクはどこにあるのだろうか。

地主の資産防衛は「収益不動産の運営」が最適解?

 本書では、それだけが資産を守る方法ではない、としながらも収益不動産の運営が地主にとって土地活用の「最適解」なのではないかとして、そのメリットについて解説している。

 収益不動産の最大の魅力は、資産の評価額を下げて、相続税を圧縮できる点だ。資産は国が定める一定の基準によって評価され、その額に応じて相続税が算出される。その際、現金や株式は時価で評価されるが、土地やマンションなどの不動産は時価よりも低く評価されるのである。現金で一億円持っていたら資産評価額は一億円のまま。しかし、その一億円で不動産を購入すれば評価額は4000万円程度に下がる。結果として相続税は低く抑えられるというわけだ。

 二つめのメリットは収益不動産の醍醐味である家賃収入である。借主さえついてしまえば、収益不動産は毎月安定した収入をもたらしてくれる。手間をかけずに長い期間資産を守ることができるのも、収益不動産運営の大きなメリットなのだ。

 三つめは、資産運用のための資金を銀行融資でまかなえる点だ。銀行から融資を受けて不動産を買うことで、手持ち資金を大きく減らすことなく、なおかつレバレッジをかけられるのである。

 たとえば、手持ちの1億円で物件を購入した場合、利回りが5%とすると1年後の収入は500万円。しかし、自己資金1000万円で9000万円の借り入れを行って1億円の物件を買った場合、同じ利回りだとすると1000万円で500万円の収入を得ることができるのだ。

 借金への忌避感から借り入れをしたがらない人も多いが、現在のアパートローンは1%程度。しかも返済は家賃収入で行うため、リスクはかなり小さいといえる。

 いいことずくめのように見える収益不動産の運営だが、リスクもある。

・支出の増加…不動産物件における設備関係の法定耐用年数である15年が過ぎたタイミングでこの部分の減価償却ができなくなり、所得税が増えてしまう(建物自体の法定耐用年数は47年。RC造の場合)。
・大規模修繕費…築15年前後で大規模修繕が必要になり出費がかさむ。
・家賃の下落…物件が古くなるほど家賃を下げないと借主がつきにくくなる。

などである。収益不動産の運営はこれらのメリット・デメリットすべてを把握したうえで始めるのが望ましい。

 本書では、この手法を成功させるためのアドバイスや、地主が資産を守るために必要な考え方と行動について細かく解説されており、土地活用を始めたいが勇気が出ない地主の強い味方になってくれるだろう。

(文=新刊JP編集部、監修=税理士法人 深代会計事務所 副所長・横山洋昌)

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