最近は、東南アジアの不動産に投資する層が変わってきているようだ。では、個人で不動産投資をする際に気をつけるべきことはなんだろうか。
「デベロッパーやエージェントなど販売する側の話だけでなく、できるだけ客観的な情報を得た上で、物件を選び抜くことが大切です。その上で、投資の基本中の基本ですが、市場には『相場』があるので、その相場を冷静に見ることも必要です。安く買える時に将来性が高い物件を選び抜いて、安定した運用をする。そういった、基本を踏まえた投資スタイルが大切になります。例えばタイでは、日本人向けエージェントなどから不動産を購入した日本人がよく『実際に建物ができると、全然売れないし、賃借人も見つからない』と言っています。購入した物件について内容を見ると、そもそも賃貸需要の見込みや情報収集が甘かったりして、買値が高すぎたというケースが大半です。
タイの不動産市場については現状、昨年の軍事クーデター以降、外国からの軍事政権の印象が悪くなっているために、観光、投資などの需要が下がっています。現地の中間層も、軍事政権となってからの政策により、今はコンドミニアムへの住宅ローン融資がつきにくくなっている影響で、コンドミニアムなどは売れにくくなっています。結果として、一時期バブルのようになっていたタイの不動産市場は落ち着きを取り戻しつつあります。このような状況ですから、探せば、安くていい物件はあるのです。その上で、購入後の賃貸需要についても、海外駐在員や高所得層を下手にあてにするのではなく、底堅い需要があるかどうかを冷静に見極めて、判断するのがいいと思います」(同)
リスクを踏まえた投資が必要
東南アジア不動産投資といえば、1月28日にも架空のカンボジア投資の詐欺話を持ちかけたとして、不動産販売代理店・First不動産の関係者13人が逮捕されたニュースがあった。
前述した過去記事『利回り660%保証?過熱するタイ不動産投資の“危険な”実態 日本人も被害の恐れ』で紹介した、パタヤの高利回りを保証している物件なども、取材したところ、現在は白人の外国人観光客需要が減っているという。この物件は日本人も数十人以上が投資として購入していたことを報じたが、これは日本人向けの海外不動産エージェント大手の会社が日本人顧客に推奨してきたために、日本人が多く購入していたためだという。
また、『【現地ルポ】タイで不動産バブル?日本企業殺到で不動産高騰の街 値崩れの不安材料も』で伝えたように、日本人街のシラチャーなどは、日本人駐在員の需要が高まったことから一時的に不動産の供給が不足し、賃貸価格が暴騰し、小さな不動産バブルが起きている町だ。しかしシラチャーは未発達なエリアで、ここにバブルに乗ろうと膨大な量の不動産の建築計画が作られていることから、市場の状況は今後大きく変わる見込みだという。