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「種子法廃止違憲確認訴訟」に合憲判決、原告団は控訴へ…「第一歩だと評価したい」との声も

文=Business Journal編集部
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報告集会で判決を批判する(左から)原告代表の野々山さん、舘野さん、弁護団の山田元農相=24日午後、衆院第1議員会館
報告集会で判決を批判する(左から)原告代表の野々山さん、舘野さん、弁護団の山田元農相=3月24日午後、衆院第1議員会館

 国が主要農産物種子法(種子法)を廃止したのは違憲だとして、全国の農家や消費者ら1498人が国に廃止の無効確認などを求めた訴訟の判決が3月24日、東京地裁であり、品田幸男裁判長は種子法廃止は「合憲」と判断し、原告側の請求をいずれも退けた。原告団と弁護団は判決を受け、東京・永田町の衆議院第1議員会館で報告集会を開き、「不当判決」と批判し、控訴する考えを示した。

 「食料への権利が憲法で保障されているかどうか」をめぐる初の司法判断。品田裁判長は「種子法は国民の食に関わる憲法上の権利を具体化したものではなく、廃止によって権利が侵害されたとは言えず、憲法違反に当たらない」と判断した。

 会見で弁護団共同代表の田井勝弁護士は「判決は原告の訴える権利性を認めず、種子法廃止によって栃木県で原種価格が3倍に高騰するなどさまざまな被害が出ていることに踏み込まず、法律論だけで門前払いにした」と批判した。弁護団の平岡秀夫元法相は「種子法の廃止法は十分な国会審議をせずに可決された経緯を主張したが、判決はその点を評価せずに切り捨てた」と語気を強めた。

 原告の有機農家の舘野廣幸さんは「裁判所は農業の実態を知らず、企業の利益を優先させて種を保障する責任を手放した国を容認した。100年後、1000年後まで子孫が生きるための基盤をつくらなければ国は滅びる」と語った。原告の消費者代表の野々山理恵子さんは「納税者として食を守りたい私たちの意見が無視され、悲しいの一言に尽きる」と述べた。

 一方で、弁護団共同代表の岩月浩二弁護士は、判決が「憲法25条に言う、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利の実現に向けて、一定の衣食住の保障が必要となることは否定できない」と食料への権利に関して言及したことについて、「国民には当たり前のことだが、食料への権利を正面から争った例は初めてではないか」と一定程度評価した。弁護団共同代表幹事長の山田正彦元農相も「第一歩だと評価したい。日本の種苗の危機を訴え、全国の農家に種子法廃止に伴う被害を聞き取りに行きたい」と話した。

 種子法は戦後間もない1952年、食料増産を求める社会的要請を背景に、コメや小麦、大豆などの主要農産物の種子を安価で安定的に農家に供給する目的で制定された。品種改良や奨励品種の指定を行うことを都道府県に義務付け、農業試験場など公的機関による種の安定生産を進めた。国は2018年、規制緩和の一環で「民間の品種開発意欲を損ねている」として廃止。農家らの反発を受け、これまで30を超す道県で種子法に代わる条例が施行されている。訴訟は2019年、「食糧法廃止は憲法25条で保障する『食への権利』を侵害している」として提訴し、2022年10月に結審した。

(文=Business Journal編集部)

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