飽和見込まれるコンビニ業界、セブンとローソンが取るべき“セオリー”戦略とは?
つまり、2位以下が圧倒的に不利になる規模型事業で勝負するのではなく、自らの事業を特化型事業に転換していくことにより、規模にとらわれない高い収益を実現することができるかもしれません。
実際にローソンは、今回の中間決算発表の席上で新浪社長自らが、従来のコンビニとは一線を画す「健康」に特化した事業に舵を切ると公表しています。これまで慣れ親しまれてきた「マチのほっとステーション」というキャッチフレーズを「マチの健康ステーション」に変えることからも、その本気度が伝わってきます。
もともとローソンは従来型のコンビニに加えて、ナチュラルローソンやローソンストア100など特化型店舗でセブンに対抗してきましたが、今回の決断でそれを全店レベルにまで拡大し、これまでコンビニを利用してこなかったシニア層などを取り込んで新たに大きな市場を開拓していこうという戦略なのです。
果たして、セブン、ローソン共に、セオリー通りの戦略を駆使して飽和が見込まれるコンビニ市場でさらなる成長を実現できるのか?
今後の動向に注目していきましょう。
(文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO)●安部徹也(あべ・てつや)
株式会社 MBA Solution代表取締役CEO。1990年、九州大学経済学部経営学科卒業後、現・三井住友銀行赤坂支店入行。1997年、銀行を退職しアメリカへ留学。インターナショナルビジネスで全米No.1スクールであるThunderbirdにてMBAを取得。MBAとして成績優秀者のみが加入を許可される組織、ベータ・ガンマ・シグマ会員。2001年、ビジネススクール卒業後、米国人パートナーと経営コンサルティング事業を開始。MBA Solutionを設立し代表に就任。現在、本業に留まらず、各種マスメディアへの出演、ビジネス書の執筆、講演など多方面で活躍中。主宰する『ビジネスパーソン最強化プロジェクト』は、2万5000人以上のビジネスパーソンが参加し、無料のメールマガジンを通してMBA理論を学んでいる。