飽和見込まれるコンビニ業界、セブンとローソンが取るべき“セオリー”戦略とは?
百貨店やスーパーなど大手小売企業が苦戦を強いられる中、コンビニエンスストアの快進撃が続いています。
10月に発表されたコンビニ大手の中間決算では、最大手のセブン-イレブンの営業収益は前年同期比37.9%増の1兆2772億円、営業利益は10.5%増の1287億円と、共に過去最高を記録しました。
業界2位のローソンは、営業総収入こそ前年同期比0.3%減の2481億円と振るわなかったものの、営業利益は3.1%増の356億円と、セブンと同じく半期ベースでは過去最高の決算となりました。
ただ、コンビニ業界は今後も順調に成長するかといわれれば、一筋縄ではいかないことも十分考えられるでしょう。
市場が飽和してくれば、成長を持続するためにはライバル企業から顧客を奪うか、新たな市場を開拓するしかありません。
コンビニ業界の先行きが楽観視できないのは、過去最高益を記録した中間決算発表の席上でローソンの新浪剛史社長が「従来型のコンビニは飽和状態」と危機感をあらわにしたことからも、感じ取ることができるでしょう。
そこで今回は、飽和しつつあるコンビニ業界で激しい競争を勝ち抜きながら、成長を持続していく戦略を考えていきたいと思います。
もしあなたがセブンの社長だったら?、もしくはローソンの社長だったら? どのような戦略で自社を成長に導くでしょうか?
ここでは「アドバンテージマトリクス」というフレームワークを活用して、それぞれの企業のあるべき戦略を検証していくことにしましょう。
●アドバンテージマトリクスとは?
アドバンテージマトリクスとは、ボストンコンサルティンググループ(BCG)が考案した、適切な事業戦略を立てるためのフレームワークです。
このフレームワークでは、まずは業界を
1.競争要因が多いか? 少ないか?
2.競争優位を築けるか? 築けないか?
という4つの要素で分類していきます。
そうすると、事業を次の4つのタイプに分類することができます。
1.競争要因が多く、競争優位が築ける→特化型事業
2.競争要因が多く、競争優位が築けない→分散型事業
3.競争要因が少なく、競争優位が築ける→規模型事業
4.競争要因が少なく、競争優位が築けない→手詰まり型事業