ここまで含められれば、絶対内定とまではいえないものの、それなりに評価はされると思われる。
・その3 そのための投資をしているか
そして最後の、そして最も重要な意図がこれだ。「質問内容と全然関係ないように見えるのに、これが重要なの?」と思う人もいるかもしれない。しかし、どれほど崇高なビジョンを語り、そのために泥をすする覚悟があると語っても、それまでの人生でそのための努力を全然していない人の言うことなど、まったく信じられないのだ。
ここまで見てきたように、以下のようなセンテンスを前後の会話の流れの中に付け加えることで、質問に隠された3つの意図に対する答えはすべて網羅されるだろう。
「復興支援のNPOに夏季休暇を通じて参加し、地元産品の販売プロジェクトでリーダーとして高い成果を上げた経験が生かせると考えています。また、上海の日本企業にインターン参加するなど、未熟ながら海外経験を積む努力もしてまいりました」
もちろん、そのためには普段から積極的に自己投資を行っておく必要があるのは言うまでもない。そういう意味では、3つ目のハードルは高く、答えられるかどうかは面接室に入る段階で決まっているともいえる。
「面接が苦手」という人の多くは、面接と会議の違いがわかっていない
最後に、面接と会議の違いについてフォローしておこう。優秀なのに、なぜか面接で落とされる人の多くは、この違いを理解していない。
両者の最大の違いは、自分を多くの競合者の中でいかにして売り込むかという視点の有無だ。面接とは、基本的に自分の売り込みなのだ。したがって、今回解説した視点は会議や日常会話では成り立たない。そういう場では、むしろシンプルにピンポイントで要点を先に述べるスタイルのほうがありがたがられる。
だが面接、中でも競合者の多い新卒採用面接では、ピンポイント型のやりとりではまったくアピールにつながらない。一人で数十人の面接をこなさないといけない人事担当者にとって、よほど履歴書に見どころのあるような人材を除いて、わざわざ追加で質問することは少ないものだ。
特に理系に多いのだが、学歴も地頭も悪くないにもかかわらず、なぜか面接で思うように結果が出ない人には、得てして面接もピンポイント型で臨んでしまう人が多いように思う。あくまで、自分を魅力的に見せて売り込む場だと理解するべきだろう。
(文=城繁幸/人事コンサルタント)
※本稿は、城繁幸氏のメルマガ「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」から抜粋・編集したコンテンツです。
【筆者プロフィール】●城 繁幸:人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。
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