著者の佐藤亮子氏は、専業主婦でありながら3人の兄弟を超難関とされる灘中学校・高等学校から東京大学理科3類に進学させ、そのメソッドに注目が集まっている。
今回は、その佐藤氏に
・独自の勉強法
・親の立ち位置や支援法
・教育費の使い方
などについて聞いた。
90%ではダメ、何事も100%にこだわる
–灘中学校・高校や東京大学などの超難関校は、1人でも合格させるのは難しいと思いますが、やはり苦労は多かったのでしょうか?
佐藤亮子氏(以下、佐藤) 上の子供2人はすんなりと合格したのですが、三男が大変でした。小学校6年生の8月に学習塾の浜学園が主催する「灘中オープン」という大事な模擬試験の算数で、100点満点中9点を取ってしまったのです。家に帰ってからもう一度問題を解かせると、スラスラと解答していきます。そこで初めて、三男がプレッシャーに押しつぶされそうになっていることに気づきました。当時は、2人の兄がすでに灘中に通っていて、周りの友達も「あの子は灘中に行く」と思っていましたから、プレッシャーを感じて当然でしょう。
そこで私は、精神面を鍛えるために過去19年分の灘中の過去問題を4回繰り返させて、実際の入試問題に慣れさせました。三日三晩考えても、これ以外の方法が思いつかなかったのです(笑)。そこから、入試本番までの4カ月はお互い覚悟を決めて、ひたすら過去問をやり続けました。そのかいがあり、なんとか合格することができて、今は「あの時は大変だったけど、よかったね」と話しています。
–まさに、親子二人三脚だったわけですね。3人のお子さんは体育系クラブに所属するなど青春を謳歌し、いわゆるガリ勉タイプではなかったそうですが、本書に書かれている「佐藤式勉強法」の中で最も大事なことはなんでしょうか?
佐藤 子供には普通に部活もやらせていて、年中「受験、受験」と言っていたわけではありません。こだわっていたのは、何事も100%を目指すということでしょうか。意外と、みなさん90%ぐらいで納得してしまうもので、例えば、漢字の「とめ」「はね」「はらい」をきちんと教えないこともあるようです。私は100%を目指すと決めていたので、子供が小学校で習う漢字1006字をすべて見て、少しでも書き方が間違っていたら習字で練習させました。そういう部分で、妥協を許さないことが大事だと思います。
100%を目指さないとサボり癖がついてしまい、いざという時に間違ってしまいます。そうならないために、字の書き方にせよ、なんにせよ、とにかく完璧にするのが佐藤式です。また、勉強部屋を与えないのも大きな特徴だと思います。