会社の利益を蝕む“7つのムダ”…職場から「油を売る」「ただ動く」を一切排除せよ
「動き」と「働き」というコンセプト
トヨタ生産方式には「動き」と「働き」というコンセプトもあります。「働き」とは製品に価値を付加する行為のことで、「動き」は製品に価値を付加しない行為を指します。つまり製品を組み立てるためにスクリュードライバーでネジを締めていれば、それは製品に価値を加える「働き」ですが、そのスクリュードライバーが見つからないといって探し回っているのは「動き」と見なされます。
製品に価値を与えない「動き」はなくすべきですから、この場合には工具を探して回らなくてもよいような工具の管理の仕方が求められます。それが改善活動になるわけです。
もちろん製品に価値を付加する「働き」に付随して必要になっている「動き」もあります。そのため私たちは、明らかな「動き」(=ムダ)はなくすようにしながら、「働き」にくっ付いて必要になってしまっている「動き」も見つけ出し、できるだけ排除していくことが必要になります。
前出の私語についても、職場の空気を読めば、完全に不必要な私語ばかりではないと感じられたかもしれません。私語も(すべてではないが)雰囲気をつくる、あるいは保つために必要になっていると思える場合です。
ここで付加価値を生み出していないであろう「動き」(=役に立っていないムダな会話)を減らすためには、ともかく一度「私語原則禁止」というルールをつくって周知するのが1つの方法です。職場のルールとすることにより、それは日頃から意識している特定の人だけのルールではなくなります。こうして全体の意識を高めることで、私語により仕事をしやすい雰囲気をつくることについて、その必要性を見直すことができます。必ずしもムダでないと思えていたことからも「動き」の部分を見つけ、排除していくことはできるのです。
付加価値を生み出していくために
「働き」に付随している「動き」(=ムダ)の例をもう1つ見てみましょう。たとえば通勤時間はそれに当てはまります。通勤そのものは必要ですが、その間にスマホでゲームをしていたり、だたぼんやり過ごしていれば、それは「働き」とはなっていないでしょう。同じ時間に勉強をしたり、たとえ本を手にすることができない環境であっても、何かを学ぶためにイヤホンを使って聞いたりすることはできるものです。