「社長になりたい!」と思ったことはあるけれど、いまの会社でそこまで昇り詰めるのは絶望的だと感じている人も多いはず。それならば起業? いや、そもそも社長になるには、いまの会社で出世するか、起業するしか方法がないのだろうか。
これまでマッキンゼーでのコンサルタントや、アップルなどで人事責任者の経験のある小杉俊哉氏は、経営者になるための「第3の道」があると話す。それが「プロ経営者」だ。
「“プロ経営者”になるためにどうすればいいかを知ることで、いまの会社で社長を目指すよりもずっと簡単に社長になれる」と氏は説く。
サントリー社長の新浪剛史氏、資生堂の魚谷雅彦氏などが、代表的なプロ経営者として挙げられる。しかし、実際はさらに多くのプロ経営者が存在する。
本書『職業としてのプロ経営者』の中から少しご紹介しよう。
「プロ経営者」とは?
そもそもプロ経営者とはどのような存在なのだろうか。
一般的に「社長」というと、企業に30~40年勤めてから抜擢されることが多いが、プロ経営者は他社から探し求められて抜擢される。そのため、30~40代で社長になることもでき、若い時から経営に携わることができる。
また、報酬の額もかなり違う。一般的な上場会社の生え抜き社長であっても、平均して年額3,000万円ほどであることが一般的だが、プロ経営者ともなると「億」を超えるケースも珍しくない。成功報酬型であり成果を出さなければ解雇されるリスクもあるとはいえ、経営者として生きることはより多額の報酬に恵まれるだけでなく、人生の密度をより濃く生きることができる。
プロ経営者31人に共通したのは…
ではそのようなプロ経営者になるためにはどうすればいいか?
本書では、最初はサラリーマンからキャリアをスタートさせた31人ものプロ経営者へのインタビューを紹介しているが、全員に共通しているのが、あらゆる機会を学習のチャンスに変えてきていること、だ。
彼らはプロ経営者になる過程でいくつもの試練にぶち当たってきている。ところが彼らはそういった失敗や挫折からでも、学びを得る。特に秀でたリーダーシップを持っていなくても、困難を超えるために自分に負荷をかける経験が彼らを「普通」のビジネスパーソンから「プロ経営者」へと変えていったのだ。
どういう壁にぶち当たったか
ここで、プロ経営者がぶち当たった壁や学びを、彼らの声でそのまま少し紹介しよう。
「営業本部長という管理職的立場を28歳で任された。部下は全員年上」(西谷浩司/株式会社本間ゴルフ 代表取締役社長)
「社長になったとき、日本では15年間一度も黒字になっていなかった」(細谷武俊/オフィス・デポ・ジャパン株式会社 代表取締役社長)
「最初はいつも負けからはじまっていた。負けている状態から入っていって、勝ちを収めるまでは逃げない」(相木孝仁/RakutenKoboInc CEO)
彼らはいくつもの試練を乗り越えて今がある。そのような試練を自ら求め、「修行」してきたからこそ、彼らはプロ経営者になったと言える。
ここで挙げたのは一例だが、本書ではさらに多くのプロ経営者たちの、挫折経験や、そこから学び続けることに対する熱い思いなどを詳しく紹介している。
いまの自分を変えたい人、経営に携わりたい人、もっと多くの人や金を動かしてみたい人は、自分のこれから進む道の指針を得る意味でも、本書から学べるものは多いはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。