「雑食主義」が世界を面白くする
–本書を手に取る人たちに向けて、メッセージをお願いします。
角田 世の中は「雑食」のほうが面白い。テレビのバラエティ番組に長く携わってきた経験から、これだけは間違いなく言えます。僕は以前、どうしてもうにを食べることができなかったのですが、北海道の積丹半島で食べたうにが信じられないくらいおいしくて、それ以来食べられるようになりました。本も同じだと思います。
高校の時の国語の先生が、毎回毎回、森鴎外の『舞姫』の「石炭をば早や積み果てつ」という一文を取り上げ、「これ、どう思う?」と生徒に聞くことを繰り返していました。「こんな授業で、テストはどうなるんだろう?」と思っていたら、テストの問題用紙には「石炭をば早や積み果てつ」と書いてあり、「思うところを述べよ」。かなり変な先生だったのですが、それがずっと記憶に残っていて、最近『舞姫』を読み直してみたら、とても面白かったんです。
だから、きっかけはなんであれ、まずは読んでもらいたいですね。本を手に取り、ページをめくって、世界史の面白さをそれぞれに発見してもらえたら、ありがたいと思っています。
(構成=青木康洋/フリーライター)
【角田陽一郎プロフィール】
1970年、千葉県生まれ。1994年、東京大学西洋史学科を卒業。卒業論文のテーマは「独裁者ナポレオンの登場はフランス革命の一部なのか?」。1994年に東京放送(TBSテレビ)に入社。制作局バラエティ部でAD・ディレクターを経た後、現在はメディアビジネス局スマートイノベーション推進部兼制作局制作部所属。ACC CM FESTIVALのインタラクティブ部門審査員も務める。担当した番組は『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など。現在は深夜のトーク番組『オトナの!』を制作。著書に『オトナの!格言』(河出書房新社)、『成功の神はネガティブな狩人に降臨する~バラエティ的企画術~』(朝日新聞出版)、『究極の人間関係分析学 カテゴライズド』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。バラエティ番組の企画制作をしながら、映画監督やネット動画配信会社goomoの設立なども行っている。