毎日1万歩歩いているのに、骨粗しょう症に。トライアスロンが趣味なのに、動脈硬化に。犬の散歩が日課なのに、うつ病に。健康的な日常を送っているはずが、思わぬ落とし穴が潜んでいることがある。
『やってはいけないウォーキング』(青栁幸利/著、SBクリエイティブ/刊)は、東京都健康長寿医療センター研究所の医学博士である青栁幸利氏が、15年以上かけて導き出した医学的エビデンスをもとにした「健康に効く歩き方」をまとめたものだ。これまでの間違った常識をくつがえし、「がん」「認知症」「高血圧」「メタボ」など症状別に効く歩き方を紹介する。
毎朝、犬の散歩を日課にしている。いかにも健康的な日課だが、少し間違うと不健康な生活へと導く可能性があるという。うつ病の大きな原因の1つは「太陽を浴びない生活」にあるといわれており、犬の散歩が日課の人がうつ病になるとは本来考えにくい。しかし、実際にうつ病になってしまう人がいる。原因は、散歩以外の過ごし方にある。犬の散歩で疲れてしまい、それ以外の時間は横になってダラダラと過ごす生活をしていると、日々の運動が不十分なため、うつ病になってしまう可能性があるのだ。
「1日のどこかで集中的に運動したからOK」という考え方はたくさんいる。しかし、「運動している時間だけで考える」「運動時の消費カロリーで健康を考える」という認識は病気を引き起こす元になるのだ。なぜなら「運動」というものは、「自分が『運動している』と感じている時間」だけを切り取って考えるのではなく、1日24時間365日トータルで考えていくべきだからだ。
また、消費カロリーを気にしながらの運動も、あまり意味がない。カロリーは「個体差を無視した絶対値」だからだ。同じ消費カロリー200キロカロリーでも、体重40キロの人と80キロの人では意味合いがまったく変わってくる。なので、消費カロリーを気にしても意味がないということだ。
では、うつ病を予防するにはどうしたらいいのか。著者は「4000歩/5分」以上のウォーキングが1つの目安の数字となるという。青栁氏の15年に渡る研究で、うつ病の人の2つの特徴が明らかになった。1つは、1日4000歩未満しか歩いていないこと。もう1つが、中強度の運動をほぼまったくしていないことだった。
では、なぜ「4000歩/5分」がうつ病予防に効果があるのか。その理由は、太陽の力だ。人間は日光を浴びることで体内のリズムを整えていく。うつ病の人は、日光に浴びる機会が非常に少ないため、生活にメリハリがなくなり、悪循環に陥ってしまうのだ。また、中強度の運動をすることで、体温を上昇させ、よく眠れるという効果がある。中強度の運動とは、目安としては、「なんとか会話できる程度」のスピードで歩くこと。
足腰が弱くなって外出の機会がほとんどない。落ち込みやすくなった。と、心当たりのある人は、運動が足りていないのかもしれない。
毎日、犬の散歩で歩いているから大丈夫…と思っている人は要注意。まずは「4000歩/5分」のウォーキングから始めてみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。