著:植西聰/KKロングセラーズ
物欲、食欲、睡眠欲など、人には「欲」というものがある。
欲はあって当たり前だが、欲張りすぎには注意が必要だ。多くの人は、幸福は欲しいものを得ることで実現できると考えているだろう。しかし、そうとは限らない。
考え方をガラッと変えてみて、「幸福は欲しがらない心から生まれる」という考え方や生き方に変えてみると、実は幸せは手に入るのではないだろうか。
『老子流 欲しがらない練習』(植西聰/著、KKロングセラーズ/刊)では、古代中国の哲学者である老子をキーワードに、欲しがる心を捨てる、欲しがらない考え方、生き方を実践する方法を紹介。『老子道徳経』の言葉をわかりやすく現代風に翻訳し、解説する。
■「聖人は積まず」(第八十一章)
この老子の言葉を現代風に翻訳すると、「すぐれた人物は、欲しがる心を捨てるので、必要なものを蓄えようとはしません。」ということだ。
老子流の生き方は、現代風に言えば「シンプルライフ」に当てはまると植西さん。「シンプルライフ」は、物欲的な豊かさよりも精神的な安らぎを大切にする生き方で、こうした生き方を望む人たちに対して老子は、「溜めこまないようにしましょう」と言っているのだという。
必要最低限のものがあればいい、家の中に余計なものを溜めこまず、広々とした空間で、快適に暮らす。成功、名誉、お金…そういったものを望むから、ストレスが溜まっていくのだ。日ごろから「欲しがらない心」を大切にすることが大事だといえよう。
■「常に欲無くして、以て其の妙を観る」(第一章)
これを現代風に翻訳すると「『欲しがる心』を少なくして、『量よりも質』を大切にしていきましょう。わずかなものの中に、幸福の本質が見えてくるのです。」となる。
「質よりも量」と「量よりも質」、どちらを大切にしているかはその人の価値観によるが、「量よりも質」が老子流の考え方だ。時間的にたくさん働けば働くほどいい仕事ができるわけではないし、たくさんお金を使えば使うほど幸せを得られるとは限らない。
質を高めるためには欲しがる心を小さくし、少ないもの、わずかなものを大切にする。それが老子の教えなのだ。
ついつい欲張ってしまう人は、この老子流の考え方を試してみてはどうだろう。自分の生活の中に、新しい発見があるかもしれない。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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