著:山田真哉/英治出版
日本では銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)で定められているため、しかるべき職務についているか、都道府県公安委員会より許可がおりていない限り、銃を手にする機会はまずありません。
当然、武器や銃について見聞きしたり調べたりすることは少ないので、知識も乏しいはずですが、それだけにガンアクション映画やマンガなどを観ると「弾丸ってどれくらい飛ぶの?」「一般人が撃ったらちゃんと的に当たるの?」など、疑問が浮かんだりすることもあるのではないでしょうか。
『銃の科学 知られざるファイア・アームズの秘密』(かのよしのり/著、ソフトバンク クリエイティブ/刊)は、私たち日本人にとってなじみの薄い“銃”について、その歴史や性能、近年の流行までを詳しく解説した一冊です。
今回はその中から、日本人が疑問を持ちそうな銃の豆知識をいくつか集めてみました。
■弾丸はどれくらい飛ぶのか?
漫画『ゴルゴ13』を読むと、主人公のゴルゴ13が信じられないような長距離狙撃を成功させるシーンを目にしますが、それを読むと銃から発射された弾丸は最大でどれくらい遠くまで飛ぶものなのか、またそんなに遠くに飛ばしても弾丸は勢いを失わないものなのか、という疑問が湧きます。
銃弾がどれくらい飛ぶか(最大射程)が、その重さと速度、形状によって異なることは想像がつきますが、本書によると気温や気圧も最大射程に影響を与えるそう。速度が速く、重量があり、細長く流線型に近い弾丸ほど遠くに飛び、なおかつ気温が高く気圧が低い時も飛距離が伸びるようです。
たとえば、映画『ダーティーハリー』でおなじみの拳銃弾、44マグナムは気温15℃、1気圧の場合では最大射程2272m、弾頭重量が46.5gと重い12.7mm重機関銃の弾は同じ条件下では6547mも飛びます。
ちなみに、この12.7mm重機関銃の弾を2km先に向かって撃つと、到達までに4秒以上かかります。これだけ聞くと「銃弾って案外遅いんだな」と思うかもしれませんが、単純計算で秒速約500mですからとてつもないスピードです。そして、もちろん銃弾は数キロ先でも人に致命的なダメージを与えるだけのエネルギーがあります。
■一般人が拳銃を撃ったらどれくらい命中させられるのか?
オリンピック種目にフリーピストル競技というものがあります。その名の通り射撃競技なのですが、標的の「10点圏」の直径は10cm。メダルを取るような選手は、50mの距離からほとんどの銃弾をこの10点圏内に撃ち込むことができます。
では、一般人が拳銃を持つとどれくらいの精度で標的に当てることができるのでしょうか。
著者のかのさんは普通なら25mの距離で直径30cm程度の円に入るくらいだとして、なかなかうまくは当たらないだろうと言います。ただし、精度を上げる方法がないわけではなく、銃を持った手を砂袋に乗せて安定させて撃てば、25mの距離で直径10cmくらいにはまとめられるそう。銃を機械的に固定して撃つなら直径5cmくらいに入るといいます。
とはいえ、これはあくまで射撃場での話。仮に本当の撃ち合いになったら気が動転してしまい、25mも離れたらまるで当たらないようです。
日本では一般の人が手に持つことが難しい銃ですが、それだけに興味をそそられるという人は多いはず。本書には拳銃、ライフル、機関銃など、さまざまな銃の性能や歴史がつづられていますので、関心があるという人は一読をおすすめします。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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