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EMS業界世界14位の企業経営者の“破天荒経営”から学べる、ビジネスで本当に大事なこと

文=新刊JP
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EMS業界世界14位の企業経営者の“破天荒経営”から学べる、ビジネスで本当に大事なことの画像1※画像:『グローバル・ビジネス・オーガナイザー』(村井史郎、桔梗芳人/著、ダイヤモンド社/刊)

 あなたが持っているスマートフォンはどの会社が製造しているか知っていますか?

 ここでいう「製造」とは、「ドコモ」や「au」、「ソフトバンク」といったブランドメーカーのことではなく、もっと根本的な部分ともいえる、製品の組み立てや部品の製造のことを指します。

 大阪市に本社を置く「シークス株式会社」という名前を知っている人はそう多くはないでしょう。実はこの会社、「EMS」という業界の中では国内最大手であり、世界で事業を展開する知る人ぞ知る企業なんです。

 「EMS」は“Electronics Manufacturing Service”の略で、電子機器の受託製造サービスを指します。このサービスは、おおまかに「ODM」と「OEM」の2つに分かれているといわれ、「ODM」は製品の設計から製造までを請け負い、発注元企業のブランドの名で発売します。一方の「OEM」は製品の製造や組み立てを請け負って、企画や設計は発注元であるブランドメーカーが行います。いずれにせよ、このような製造方法をとることで、ブランドメーカーは生産設備(工場)を持たない“ファブレス化”を進め、経営資源を重点分野に集中できるようになるのです。

 一般的に、EMS企業は一般消費者向けの電子機器を受託製造しているイメージを持たれています。例えば、冒頭に挙げたスマートフォンならば、フォックスコン社が米アップル社のiPhoneやiPadの製造を担っています。

 しかし、シークスのEMS事業は、そういったEMS企業の中で異彩を放つ存在となっているのです。

 『グローバル・ビジネス・オーガナイザー』(村井史郎、桔梗芳人/著、ダイヤモンド社/刊)の中で創業者の村井史郎氏が明かすシークスの強烈な個性は、「受託製造」とともに柱に据えている「材料調達」にあります。

 実は、シークスはもともとEMSの会社ではなく「電子部品専門の商社」なのです。

 創業者の村井氏は戦後間もない1952年、印刷用インキメーカーである株式会社阪田商会(現・サカタインクス株式会社)に入社。自らの希望で輸出係の所属となり、世界を股に掛けてビジネスを展開してきました。

 その破天荒ぶりは本書に詳しいのですが、その中から一つ例を挙げましょう。

 東南アジアをまわっていた1950年代後半、村井氏はフィリピンにテレビの生産工場が10カ所以上あることを知ります。ところが当時のフィリピンは、電子部品の調達をアメリカからの輸入に頼っていました。そこで村井氏はフィリピンに向けて日本の家電メーカーが製造する電子部品を輸出したらどうかと閃きます。単価が安く、品目も多く、そして専門知識が必要とされる電子部品を輸出商品として扱う商社は他にはいません。

 インキメーカーにとって電子部品は門外漢。それでもお構いなしに村井氏は役員に進言したところ、なんとそのアイデアが通ったのです。

 その後、村井氏は副社長になり、1992年、63歳のときにサカタインクスの海外事業を分社独立してサカタインクス・インターナショナル(現・シークス株式会社)を立ち上げます。

 現在ではEMS事業で国内トップになるなど飛躍的な成長を続けていますが、その根底にあるのは「商社」の魂です。一つのものに固執せず、顧客が必要とするならば、世界を飛び回り調達する。特定の業種や地域にこだわらず、360度にアンテナを張り、新たなニーズを開拓する。その貪欲さは、現在87歳を迎えた村井氏の文章からもよく伝わってきます。

 そんな村井氏がビジネスをする上で何よりも大事にしてきたものがあるといいます。

 それは「信頼」です。

 相手の信頼を裏切らないこと。「あの人に頼んだのだから間違いないだろう」、「あの人に任せておけば大丈夫」。そんな風に思われるような関係を築くことができれば、ビジネスの可能性は無限に広がっていくはずです。

 ビジネスを動かすのは「人」。だからこそ、信頼される人間になることができるようになれば、国籍問わずどんな人とでも信頼関係を築けると村井氏は言うのです。

 本書では、商社でありながらEMS事業を国内トップにまで成長させたシークス会長村井氏の経営哲学について詳しく執筆された一冊。「一つのものにこだわらずにお客様にできることなら何でもする」という村井氏の考えは、ビジネスをする上で忘れてはいけないものを思い出させてくれるはずです。
(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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