「タイムカードを強制的に押されてしまう」「一定時間を超えた分の残業代は出ない」など、残業代に関する悩みはよく耳にする。「これって不当な労働条件なのでは…?」と思いながらも、渋々納得して働いている人も多いのではないだろうか。
■残業代が全く出ていない人は40%に。
昨年、新刊JP上で行った「あなたの会社は残業代出ている?」という設問のアンケートの集計を見てみると、なんとも言えない結果となっていた。
全額出ている・・・・・676(29.3%)
一部は出ている・・・・・704(30.5%)
出ていない・・・・・・・・927(40.1%)
(有効回答数:2307 期間:2015年5月19日~7月15日)
まったく出ていない人が40.1%で、一部しか出ていない人(30.5%)と合わせると、70%以上の人が残業代を全額受け取れていないということになる。また、残業分の賃金が全額出ているという人は29.3%と、全体の3割を下回った。
労働した分の賃金が支払われないとなると、モチベーションの維持にも関わってくるのは仕方のないことだろう。若いうちは「やりがい」や「経験」という「カスミ」を食って踏ん張りを効かせることができるかもしれないが、やがて限界は来る。
会社と労働者における関係の“グレーな実態”を書き下ろした『ブラック企業によろしく 不当な扱いからあなたを守る49の知識』(笹山尚人著、KADOKAWA 中経出版刊)では、労働条件に疑問を持った労働者のリアルな声が紹介されている。
■「みなし残業」によって生まれる悪夢
「仕事の特性上、残業時間がとてつもなく長いが、『裁量労働制』という制度が導入されているので残業代が支給されない」と、嘆く20代のサラリーマンが本書には登場する。いわゆる「みなし残業」の労働時間が、実態にそぐわないという問題だ。
これに対して本書は、「法の定める要件において実態を反映したものになるよう、見直しを行っていることで解決することは可能」とアドバイスしている。詳しい対応の方法は本書に譲るが、日本の労働者の権利は一定水準以上で守られており、これを知ることで、不当な労働条件にモヤモヤしている状態から一歩抜け出すことができるかもしれない。
納得のいかない労働条件で働いているという人にとって本書は参考になるだろう。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。