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戦略コンサルティングファームのケース面接tips(第2回)

プロが教える、コンサル会社面接での思考法…具体例「五輪でメダル獲得する方法は?」

文=北原大道/ムービン・ストラテジック・キャリア
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「Getty Images」より

 第1回は「前提(お題)を疑い」「現状の課題を“構造化”する」準備段階まで取り組んでいただいた。今回は実際に「課題の構造化」に取り組んでいきたいと思う。

tips2:現状の課題を“構造化”する(前回再掲)

 しっかりと依頼内容を疑い、依頼内容を以下のように修正したとする。

【依頼(修正後)】

 4年後に日本代表がオリンピックマラソンで「金銀銅いずれかのメダル」を獲得するために(削除「マラソン人気を高めたい」)「そもそもどのような施策を講じれば良いか?」(削除「どうしたらよいか?」)

 依頼内容が定義されたとして、ここで「じゃあどのような施策がいいかな?」といきなりアクションを考え始めてはいけない。アクションは“課題を解決するため”に実行するものであり、課題設定をせずにアクションは立案できない。従って“そもそもなぜメダルを取れないのか?”と現状を分析し課題の抽出を行う必要がある。

 課題抽出にはWhy型のツリー構造でのアプローチが効果的である。

 後述のように、「なぜオリンピックのマラソンで日本代表はメダルが取れないのか?」というWhyを起点とし、1段、2段・・と深堀りをしていく。また、深堀りをする際は“幅”も出来る限り出せるように意識したい。“漏れなくダブり無く”(MECE:Mutually Exclusive Collectively Exhaustive)を意識しながら切り分けていくことができればベストである。

 上記のようにある課題について、幅出しをしつつ深堀りし、完成するのがWhy型ツリーであり、“構造化する”と表現することが多い。

 では早速構造化を始めていこう。

 なぜ? と深堀りをしていき、これ以上深堀りをしても意味をなさない、と思った段階で深堀りを止めるように意識する。

※“ ”部分:課題仮説

※実際本番でホワイトボード等に整理する際はここまで全て説明はつけないし、些末な課題まで導出することはしないが、ここではあくまで構造化のイメージを持って頂くため敢えて網羅的に記載する

■なぜオリンピックのマラソンで日本代表はメダルが取れないのか?

 ▲そもそもメダルが「男/女×金/銀/銅」の計6個しかない

 (なぜ6個しかないのか?)

 ・“カテゴリーが男/女の2種類しかない”

 ・メダルが金/銀/銅の3種類しかない

  ※前提で3種類のいずれか、と定義しているので打ち手は考えないこととする

  ※前提で定義していなければ別な色のメダルを増やす、という手段は取り得る

 ▲他国の出場選手に勝てない

 (なぜ他国の出場選手に勝てないのか?)

 ・出場している他国の選手が速い

  ※他国の選手については日本陸上競技連盟としてアクションを取れないのでこれ以上深堀りしない

 ・出場している日本の選手が遅い

 (なぜ出場している日本の選手は遅いのか?)

   ●代表選手の選出方法が適切でなく、遅い選手を選出してしまっている

   ※基本的にはタイムで選出をしているため、ここではこれ以上深堀りしない

   ●日本のプロ選手が他国のプロ選手と比較して相対的に遅い

   ※「プロ選手」とは「日本陸上競技連盟に登録し、実業団に所属する選手」と定義する

   (なぜ日本のプロ選手は他国のプロ選手と比較して相対的に遅いのか?)

    ▲“他国と比較し、日本人の身体がマラソン向きではない”

    ▲“プロ選手の装備(シューズ、ウェア等)が高機能でない”

     ※高機能=より早く走れるための機能を備える、と定義

    ▲プロ選手に対するトレーニングの成果が出ていない

    (なぜトレーニングの成果が出ていないのか?)

     ◇コーチ陣のスキルが低い

     (なぜコーチ陣のスキルが低いのか?)

      ●“コーチの育成方法が適切でない”

      ●“コーチのそもそもの能力が低い”

      ●“コーチのモチベーションが低い”

     ◇トレーニング環境が悪い

     (なぜトレーニング環境が悪いのか?トレーニング環境が悪い、とは?)

      ●“トレーニングメニュー(大会含む)が適切でない”

      ●“過酷な条件(低酸素等)のトレーニング場所が少ない”

     ◇選手のモチベーションが低い

     (なぜ選手のモチベーションが低いのか?) 

      ●“メダルを取ることのインセンティブが無い”

    ▲プロ選手の母数が少ない

    (なぜプロ選手の母数が少ないのか?)

     ◇プロ選手の受入人数が少ない

     (なぜプロ選手の受入人数が少ないのか?)

      ●“実業団の数が少ない(減っている)”

      ●“1団あたりの人数が少ない(減っている)”

     ◇プロ選手になる人が少ない

     (なぜプロ選手になる人が少ないのか?)

      ※ここでターゲット層ごとにカテゴライズする

      ※オリンピックのマラソンという前提があるため、社会人からプロ選手を目指す人は限りなく少ないと仮定し、大学生までの男/女にターゲットを絞る。

     (勿論、冒頭の年齢別の提案が認められれば上記の限りではない)

      ●小学生

       ▲“短距離走はやるが、長距離走はやらず、触れる機会が少ない”

      ●中学生/高校生

       ▲陸上競技部に入部する学生が少ない

       (なぜ陸上競技部に入部する学生が少ないのか?)

        ◇そもそも陸上競技部が無い

        ◇“その他の部活のほうが魅力的(or強豪すぎて入れない)”

       ▲陸上競技部の長距離走選択率が低い

       (なぜ長距離走の選択率が低いのか?)

        ◇“短距離やその他競技のほうが魅力的”

       ▲トレーニング環境が悪い

       (なぜトレーニング環境が悪いのか?)

        ◇“トレーニングメニュー(大会含む)が適切でない”

       ▲高校生からプロ選手へのルートが少ない

     ●大学生

       ▲陸上競技部に入部する学生が少ない

       (なぜ陸上競技部に入部する学生が少ないのか?)

        ◇そもそも陸上競技部が無い

        ◇“その他の部活or遊びのほうが魅力的”

        ※基本的に中学生/高校生で選択した競技を継続すると仮定し、長距離選択率は考えないものとする

       ▲トレーニング環境が悪い

       (なぜトレーニング環境が悪いのか?)

        ◇“トレーニングメニュー(大会含む)が適切でない”

       ▲マラソンのプロ選手になるインセンティブが無い

       (なぜマラソンのプロ選手になるインセンティブが無いのか?)

        ◇“プロ選手は選手生命が短く、生活が出来ない”(イメージがある)

 さて、構造化はいかがだっただろうか。自身で解いてみたものと近かった方も、まったく異なった方もいらっしゃったと思う。上記は一例として参考にしていただきたい。

tips3:“構造化”して出た課題仮説に対し、打ち手を検討し、priority付けをする

 構造的に深堀りすることで、以下の課題仮説が導出された。

マラソンのカテゴリーが男/女の2種類しかない

・他国と比較し、日本人の身体がマラソン向きではない

・プロ選手の装備(シューズ、ウェア等)が高機能でない

・コーチの育成方法が適切でない

・コーチのそもそもの能力が低い

・コーチのモチベーションが低い

・プロ選手に対するトレーニングメニュー(大会含む)が適切でない

・過酷な条件(低酸素等)のトレーニング場所が少ない

・プロ選手にとって、メダルを取ることのインセンティブが無い

・実業団の数が少ない(減っている)

・実業団1団あたりの人数が少ない(減っている)

・小学生が、短距離走はやるが、長距離走はやらず、触れる機会が少ない

・中学/高校に於いて、陸上競技部よりその他の部活のほうが魅力的(or強豪すぎて入れない)

・中学/高校の陸上競技部に於いて、短距離やその他競技のほうが魅力的

・中学/高校の陸上競技部長距離のトレーニングメニュー(大会含む)が適切でない

・大学に於いて、陸上競技よりその他の部活or遊びのほうが魅力的

・大学の陸上競技部長距離のトレーニングメニュー(大会含む)が適切でない

・大学の陸上競技部長距離の選手が、プロ選手は選手生命が短く、生活が出来ないイメージを持っている

 上記課題仮説に対し、打ち手を検討する。そして、その打ち手に対し、「コスト」×「インパクト」の観点でpriority付けをする。その際に、短期/中期/長期の観点を入れてもよい。

 いくらインパクトがある打ち手であってもコストが膨大にかかってしまっては実行がしづらい、またいくらコストが安くてもインパクトがなければ意味がない。従って、そのバランスが重要である。

 次回は打ち手出し、及び打ち手に対するpriority付けをしてみたい。

(文=北原大道/ムービン・ストラテジック・キャリア)

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【筆者プロフィール】

●北原 大道(Taido Kitahara)

東北大学工学部卒業。元東芝、ヘルスケア系/独立系コンサルティングファーム出身

新卒で東芝に入社し、変電機器の設計・開発に従事。

その後、ヘルスケア系コンサルティングファームを経て、独立系コンサルティングファームにてエネルギー業界のクライアントに対する成長戦略立案、事業戦略立案など幅広くプロジェクトを経験後、ムービンへ参画。

コンサルティングファームでの経験を活かし、戦略系/総合系コンサルティングファームを目指す方々を数多く支援しております。

株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア

20年以上にわたり日本初のコンサル転職支援特化エージェントとして、コンサルティング業界への転職活動を支援。長年実績を重ねてきた結果、複数の媒体から日本No.1のエージェント表彰を受けるなど、コンサルティング業界に関する専門家集団としてのユニークなポジショニングを確立しております。

北原大道

東北大学工学部卒業。元東芝、ヘルスケア系/独立系コンサルティングファーム出身


新卒で東芝に入社し、変電機器の設計・開発に従事。


その後、ヘルスケア系コンサルティングファームを経て、独立系コンサルティングファームにてエネルギー業界のクライアントに対する成長戦略立案、事業戦略立案など幅広くプロジェクトを経験後、ムービンへ参画。


コンサルティングファームでの経験を活かし、戦略系/総合系コンサルティングファームを目指す方々を数多く支援しております。


株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア


20年以上にわたり日本初のコンサル転職支援特化エージェントとして、コンサルティング業界への転職活動を支援。長年実績を重ねてきた結果、複数の媒体から日本No.1のエージェント表彰を受けるなど、コンサルティング業界に関する専門家集団としてのユニークなポジショニングを確立しております。

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