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戦略コンサルティングファームのケース面接tips(第3回)

コンサル会社面接、ケース面接への具体的対処法…課題仮説→打ち手にpriority付け

文=北原大道/ムービン・ストラテジック・キャリア
コンサル会社面接、ケース面接への具体的対処法…課題仮説→打ち手にpriority付けの画像1
「Getty Images」より

 いよいよ最終回となる今回は、第2回で出した課題仮説に対し、打ち手を考え、その打ち手にpriority付けをするところまでやっていきたい。

 このとき、本番では「そもそもこれは課題になりうるか?」という課題そのもののpriority付けをするが、ここでは前回もお伝えした通りあくまでトレーニングなので、すべての課題に対して平等に可能性があるものとして、全ての課題仮説に対して打ち手出しをしてみる。(ここまで課題を細分化すれば、打ち手は自ずと見えてくるハズ)

 そして、出した打ち手を「コスト」×「インパクト」(及び短期/中長期)で評価し、priority付けをしてみたい。

「コスト」は時間(交渉に人的リソースが多大にかかる等)など、結果的に利益を圧迫するものをすべて含む。○、△、×の3分類とし、○のほうがより安いものとする。

「インパクト」はどれだけ目的に近づく成果を上げられるか、で判断する。○、△、×の3分類とし、○のほうがより大きいものとする。最終的には、縦軸:「コスト」×横軸:「インパクト」の表を作成し、4象限にそれぞれの打ち手をプロットしてみよう。

※ 「コスト」及び「インパクト」の設定の仕方について、前半の項目だけ解説を付ける。

その他はご自身で考えてみていただきたい。

1.マラソンのカテゴリーが男/女の2種類しかない

 ▲男/女だけでなく、柔道のように年齢別や体重別等を増やすことをオリンピック委員会に提案する

  ◇コスト : ×、インパクト : △~○

 オリンピック委員会との交渉に時間的コストが多大にかかるが、カテゴリーが増えればそれだけ獲得可能性は高まる。ただし、数が増えてもそもそものスペックが変わらないと獲得率が大きく変わるとは思えずインパクトは△。(ただし、2.の施策と併せての実施であれば効果大だと考えられ○)

2.他国と比較し、日本人の身体がマラソン向きではない

 ▲日本人以外の、例えばアフリカ等のマラソンに適した身体を持つ国の人を帰化させる

  ◇コスト : ×、インパクト : ○

 選手を帰化させるコストは多大にかかるが、そもそもの能力値が高い選手が加わるので獲得率は上がると見てインパクトは○

3.プロ選手の装備(シューズ、ウェア等)が高機能でない

 ▲装備(シューズ、ウェア等)の機能を向上する(各メーカーと連携)

  ◇コスト : △、インパクト : ○

 メーカーの開発コストは比較的かかるが、ナイキの厚底シューズのように革新的なインパクトを与えるケースもあるためインパクトは○

4.コーチの育成方法が適切でない

 ▲コーチの育成方法を見直す(コーチ養成学校のカリキュラムの見直し等 ※強豪国をベンチマーク)

  ◇コスト : △、インパクト : ×~△

 カリキュラム見直しのコストが比較的かかり、かつそもそもコーチの指導は一定の影響はあると考えられるが実際に走るのは選手なので、直接的なインパクトが図りづらく×~△とする

5.コーチのそもそもの能力が低い

 ▲コーチの選抜方法を見直す

  ◇コスト : △、インパクト : ×~△

 選抜方法見直しのコストが比較的かかり、コーチの素養の見抜き方が明確にわかるのであればインパクトは△。明確にわからないのであれば×

6.コーチのモチベーションが低い

 ▲コーチに対するインセンティブを設計(オリンピックで育成した選手がメダルを獲得したらボーナス●●万円 等)

  ◇コスト : △、インパクト : ×~△

 物理的にボーナスを支払う設計にするのでコストが比較的かかり、コーチの影響なのか選手の影響なのかが曖昧になるため、インパクトは×~△とする。

7.プロ選手に対するトレーニングメニュー(大会含む)が適切でない

 ▲7-1.トレーニングメニューを再設計する(※強豪国のベンチマークやAIによるデータ活用)

  ◇コスト : △、インパクト : △~○

 メニュー再設計のコストは比較的かかるが、AIによるデータ分析及び活用等が増加することによりトレーニングメニューがより最適化される可能性はあり、インパクトは△~○とする。

 ▲7-2.選手が競う大会の数を増やす

  ◇コスト : △、インパクト : ×

 大会を増やしてもコストがかかるだけでインパクトは無いと考えられる

 ▲7-3.大会の質を上げる(タイムで出場可否を決め、かつ賞金も変える)

  ◇コスト : △、インパクト : ×~△

 大会を再設計し賞金等を増やせば多少の効果はあると思われるが、大会の設計や賞金の増額などコストが多くかかる

8.過酷な条件(低酸素等)のトレーニング場所が少ない

 ▲国外の過酷な条件(低酸素等)のトレーニング場所で合宿を行う(or現地に住む)

  ◇コスト : △、インパクト : ○

9.プロ選手にとって、メダルを取ることのインセンティブが無い

 ▲選手に対するインセンティブを設計(オリンピックでメダルを獲得したらボーナス●●万円 等)

  ◇コスト : ×、インパクト : △

10.実業団の数が少ない(減っている)、実業団1団あたりの人数が少ない(減っている)

 ▲日本陸上競技連盟から企業に出資

  ◇コスト : ×、インパクト : ×

11.小学生が、短距離走はやるが、長距離走はやらず、触れる機会が少ない

 ▲文科省と交渉し、長距離走をやっていない小学校のカリキュラムに長距離走を組み込む

  ◇コスト : ×、インパクト : △

12.中学/高校に於いて、陸上競技部よりその他の部活のほうが魅力的(or強豪すぎて入れない)及び、13.中学/高校の陸上競技部に於いて、短距離やその他競技のほうが魅力的

 ▲他の人気競技(サッカーや野球)に対する陸上競技(特に長距離)の魅力をPRする(17.の施策に包含)

  ◇コスト : ×、インパクト : ○

14.中学/高校の陸上競技部長距離のトレーニングメニュー(大会含む)が適切でない

 ▲7.の施策と同様

15.大学に於いて、陸上競技よりその他の部活or遊びのほうが魅力的

 ▲他の人気競技(サッカーや野球)に対する陸上競技(特に長距離)の魅力をPRする(17.の施策に包含)

※陸上競技に遊びの要素を含めることも考えられるが、最終目的を考えるとあまり意味をなさないと考える

  ◇コスト : ×、インパクト : ○

16.大学の陸上競技部長距離のトレーニングメニュー(大会含む)が適切でない

 ▲概ね、7.の施策と同様

 ▲目標とする地方大会(箱根駅伝のようなテレビで取り上げられる大会)を増やす

  ◇コスト : △、インパクト : △

17.大学の陸上競技部長距離の選手が、プロ選手は選手生命が短く、生活が出来ないイメージを持っている

 ▲プロ選手の引退後の保障を充実させ、陸上競技の魅力をPR

  ◇企業に於ける雇用を保障(日本陸上競技連盟から各企業に対する補助金等も検討要)

  ◇オンライン(有名俳優を起用したTVCM、Youtube等)、オフライン(スポーツショップ等)でPR

   ●コスト : ×、インパクト : ○

 雇用保障に対する補助金やPR費用は多大にかかるが、選手生命が延びればプロ選手を選ぶ大学生も増加すると考えられ、インパクトは○

 以上を「コスト」×「インパクト」の表にプロットし、まとめると以下のような打ち手となる。

コンサル会社面接、ケース面接への具体的対処法…課題仮説→打ち手にpriority付けの画像3

■短期的には、

 ▲選手の装備(シューズ、ウェア等)メーカーと連携し、機能の向上を図りつつ、

 ▲以下取り組みにより、既存選手のトレーニングメニューを再設計し、パフォーマンスの向上を図る

  ◇強豪国のベンチマークをした上で、

  ◇過酷な条件(低酸素等)を実現出来る国外へのトレーニング場所の移行や、

  ◇AI等を活用したデータ分析結果によるトレーニング効果の最大化を試みる

■中長期的には、

 ▲そもそものプロ選手になる母数を増やすべく、

  ◇プロ選手の引退後の保障を充実させることで、プロ選手を目指せる土壌を作りつつ、

  ◇オンライン、オフライン両面から保障や陸上競技の魅力をPR

 ▲それだけにとどまらず、

  ◇男/女だけでなく、柔道のように年齢別や体重別等を増やすことをオリンピック委員会に提案することで獲得メダル数の増加を試み、

  ◇日本人以外の、例えばアフリカ等のマラソンに適した身体を持つ国の人を帰化させる、などプロ選手のレベルの総合的な向上を図る

 以上、非常に長くなってしまったが、以上で3回にわたる「戦略コンサルティングファームのケース面接tips」を終了したい。冒頭にも記載した通り、本内容はあくまで著者の一見解であり、ぜひ読者の皆さんご自身の回答を作成してみてほしい。正解がないところがまたケース面接の面白いところである。

 そして、研鑽を積み、皆さんが希望のコンサルティングファームに内定を獲得することを心から願っている。
(蛇足だが、弊社がその強力な伴走者になることが出来るという点は、最後に付け加えておきたい)

(文=北原大道/ムービン・ストラテジック・キャリア)

北原大道

東北大学工学部卒業。元東芝、ヘルスケア系/独立系コンサルティングファーム出身


新卒で東芝に入社し、変電機器の設計・開発に従事。


その後、ヘルスケア系コンサルティングファームを経て、独立系コンサルティングファームにてエネルギー業界のクライアントに対する成長戦略立案、事業戦略立案など幅広くプロジェクトを経験後、ムービンへ参画。


コンサルティングファームでの経験を活かし、戦略系/総合系コンサルティングファームを目指す方々を数多く支援しております。


株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア


20年以上にわたり日本初のコンサル転職支援特化エージェントとして、コンサルティング業界への転職活動を支援。長年実績を重ねてきた結果、複数の媒体から日本No.1のエージェント表彰を受けるなど、コンサルティング業界に関する専門家集団としてのユニークなポジショニングを確立しております。

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