約8割の人は絶対に新商品を買わない?絶対に買う約2割の人を見つける&買わせる方法
新商品の立ち上げ中というその人は、悩んでいた。
「お客さんに新商品を紹介すると、興味を持つ方は多いんです。でも『採用実績は?』『本当に大丈夫?』と聞かれて、なかなか実際に買うところまで進まないのです」
私たちは、まったく新しい商品を企画している時、「今までになかった素晴らしい商品だ。きっとみんな興味を持つはずだ」と思いがちだ。しかし現実にはこの人のように、興味を持つお客さんは多いものの、なかなか売るところまでいかない、という現実に突き当たる人は多い。
かく言う私もIT業界でさまざまな新商品立ち上げにかかわり、同じ経験をしてきた。斬新な商品に興味を持つお客さんは多かった。しかし、実際に採用に至るお客さんはごくわずかなのだ。なぜこんなことが起こるのだろうか?
イノベーター理論
マーケティングでこの現象を説明する理論がある。「イノベーター理論」だ。新しいものが普及するときは、人により反応は違う。真っ先に飛びつく人もいれば、なかなか手を出さない頑固な人もいる。これを新しいモノを受け入れる順に5つのタイプに分類したのが「イノベーター理論」だ。
(1)イノベーター(全体の2.5%)…新しいモノに真っ先に飛びつく
(2)アーリーアダプター(同13.5%)…よさそうと思ったら、取り入れる
(3)アーリーマジョリティ(同34%)…周囲の人がいいと言ったら、取り入れる
(4)レイトマジョリティ(同34%)…多くの人が取り入れたら、自分も取り入れる
(5)ラガード(同16%)…なんだかんだ文句を言い、取り入れない
この仕組みがわかると、冒頭の「興味を持つけどなかなか買わないお客さん」が多い理由がわかるはずだ。ある程度リスクを取って新商品を採用するのはイノベーターとアーリーアダプターだが、この2つは合計しても全体の16%しかいない。残りの84%はリスクがあるものには手を出さない。
もし見込客が10人いたら、この「新しいものには手を出さない」というタイプが8人以上いるのである。この人たちに商品の良さを一生懸命売り込んでも、まず採用しない。リスク回避が最優先なので、最初に聞いてくるのが「採用実績はあるのか?」という質問だ。そして新商品はそもそも採用実績がほとんどないので、商談がなかなか進まないのだ。このような案件は、野球にたとえるならば、バットを振ってもヒットにならないボール球である。