仕事でもなんでも自分で抱え込んでしまうことはないだろうか?
自分の力でやろうとするのは良いことだが、大きなことを成し遂げようとするなら、他人の力を上手に借りたほうが実現性は高くなる。ただ、他人の力を借りることができないという人もいるだろう。
では、どうやって人の力を上手に借りればいいのか?
そんなときに役立つのが弁証法という考え方だ。弁証法とは、異質なふたつの要素を掛け合わせて、跳躍した答えを導き出すための哲学である。
この弁証法の基本な考え方から、仕事や実生活においての活用法まで解説しているのが、『直線は最短か?』(阪原淳著、ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス刊)だ。
本書によると、自分の力と他人の力をうまく掛け合わせることは、弁証法の考え方からも理にかなっているという。
■バーベキュー理論を使いこなせ
本書で提唱されている「バーベキュー理論」は弁証法の考え方に基づいたもので、自分をバーベキューのお肉と見立てて、味付けや焼き方などを得意な誰かにやってもらうという理論だ。
つまり、目的をかなえるためには、自分ひとりの力だけでなく人の力を上手に借りたほうがいいということである。
そのためには、自分が「おいしい肉に見せる」ことと「自分を料理してくれる(引き立ててくれる)人との出会い」が必要だ。
では、自分を引き立ててくれる人をいかに見つけ、自分の力になってもらえばいいのか? 本書によると、それには3つのポイントがあるという。
1.とっかかり
2.素直さ
3.「大欲(たいよく)」があるかどうか
とっかかりとは、強い個性やエピソードのこと。やはり自分だけの個性や動機があったほうが人の興味を惹き、味方になってもらいやすいだろう。
素直さは、人のアドバイスを素直に聞き入れられるかどうか。これは、人の言うことを鵜呑みにするのではなく、人の言葉をきちんと自分で考えて、自分なりに行動することだという。
最後の「大欲」というのは、自分のためだけではない動機があるかどうか。「誰かのためにこれをしたい」とか「社会的意義があるか」ということが大切だという。やはり、個人の欲望ではない動機を持っている人に、他人は力を貸したくなるものだ。
■自分だけのチームを作れ
本書ではもう一点、目標を達成するための秘訣が書かれている。それは自分ひとりの力ではなく、チーム力で勝負をするということ。
普通、チームは自分の意志とは関係なく作られる場合が多いが、さかはら氏が言うチームとは、自分の意志で作る、「自分だけのチーム」のことだ。
ビジネスでいえば上司や部下や外部協力者、映画でいえばプロデューサーやエージェント、制作スタッフ、音楽でいえば指導者やバンドメンバーなどがそれに当たる。
では、そのために何をすべきか。仕事であれば、社内社外問わず、自分の力を認めてくれて、自分の味方になってくれる人をいかに増やすかということを考えることがその第一歩だ。
もちろん、自分だけの強いチームを作るのは簡単ではない。相性もあるだろう。映画監督でもある著者は、自らの映画のスタッフを探すために世界中回ったという。
まずは、いろいろな場所に顔を出してみること。そして「この人に味方になってもらいたい」と思える人と出会ったら、できるだけ自分を開示して見てもらう。うまく行かなかったら、すっぱり諦めて次を探す。この思い切りの良さが必要だという。
繰り返すが、自分だけのチームを作るのは簡単ではない。しかし、それだけに強い味方を得たとき、自分の力は数段引き上げられ、大きな成果を目指しやすくなるだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。