昆虫は、人類が誕生した約5億年前から地球上で生きている。さらに、人間などの哺乳類が約6千種なのに対し、昆虫は約100万種。地球上の生き物は、約75%が昆虫ということだ。ということは、地球上の生き物として、昆虫は人間の大先輩にあたるのだ。
■地球生活の大先輩・昆虫から人生を学べ
そんな虫たちから人生の大切なことを教えてもらうのが、『もしも虫と話せたら:昆虫が教えてくれた生きづらい世の中を生き抜く自然の鉄則15』(じゅえき太郎絵、ペズル文、須田研司監、プレジデント社刊)だ。 本書では、職場の人間関係がうまくいかず、生き方に悩む夏田太郎が、しゃべる昆虫たちと出会い、「生き物としての先輩」である彼らから、生きづらい世の中を生き抜く鉄則を学んでいく。
生きていくためには、打算的になるもの。ただし、自分だけの利益を考えて行動すると、長期的には損をする。自分の利益を考えるのなら、まずは相手に利益を与えて「この人を助けたい」「この人と一緒にいたい」と思ってもられる存在になることが大切だ。
このことを教えてくれるのが、クロオオアリだ。アリはアブラムシと協力して生きている。アリはテントウムシからアブラムシを守ってあげて、そのかわりにアブラムシから甘い蜜をもらっている。「何かほしい」のなら、まずは「何かあげる」が、自然の鉄則なのだ。
この鉄則を守らないと、最終的には損をする。たとえば、セイタカアワダチソウという植物は、自分たちだけが成長できるように、他の植物が成長しにくくなる化学物質を出して、それで一面をセイタカアワダチソウにしてしまう。けれど、その化学物質のせいで、自分も枯れてしまう。セイタカアワダチソウは日本全国で見られ、「日本の侵略的外来種ワースト100」に指定されている。
自分の得を考えるなら、奪い合うのではなく、与え合うこと。他者と協力関係を作ることが、一番得をする生き方ということだ。
クロオオアリの他にも、オオスズメバチは「常識とは偏見であること」、サバクトビバッタは「相手を変えるより、自分を変えたほうが早いこと」、オオコノハムシは「長所と短所は表裏一体」など、さまざまな昆虫たちが、夏田太郎に生きていくためのアドバイスをしていく。
もし生き方に悩んでいるのなら、先輩である昆虫から世の中を生き抜く鉄則を学んではどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。