その後は順調にキャリアを重ね、ある授業中に偶然口にした「いつやるの?今でしょ!」というフレーズが2010年に放送された東進ハイスクールのテレビCMで使われ、現在のブレイクにつながった。
林氏は番組の中で、講師としての自身のポリシーについてこう話した。
「僕は今でも、『人に教える資格なんてない』と思っている」
「僕の授業後には、ほとんど生徒は質問に来ない。質問が出るということは、授業の内容が悪いということ。もし3人でも質問に来れば、すぐに授業のVTRを見直す」
「合格した生徒さんが、よくお礼を言いに来てくれますが、いらない。僕は彼らに、『商品として授業を提供しているだけで、その商品を選んだのは君たちだし、なんの心配もせずに君たちが授業を受けられる環境を与えてくれたご両親にまず感謝しなさい』と話す」
加えて、スタジオに集まった今春東大合格者たちに対して、次のようなエールを送った。
「東大に入ったことは、将来の人生でなんにも役に立たない。ほかのすべてがダメでも、1つでもいいから、自分が勝負できるものを見つけてほしい」
林氏について、他の大手予備校講師は「人気商売の面も強い予備校講師という仕事ゆえ、実力以上の人気先行で有名になってしまう講師が多い中、生徒の合格率の高さを見ても、林さんは実力と人気を共に兼ね備えた人」と評価する。
また、林氏の授業を1年間受けていた経験のある元生徒は、「1年間林先生の授業を受けていると、実際の受験中、あたかも林先生が授業しているかのような声が頭の中で聞こえてくるほど、すらすらと問題を解けるようになる。また、授業中は雑談などを通じて、やる気を引き出してくれるようなさまざまな話しをしてくれるのも楽しみだった」と話す。
当分、「今でしょ?」ブームは終りそうにない。
(文=編集部)