「頭がいい」の意味の一つには、文脈を読んで的確に物事を理解し、考えて人に伝えられる知性を持っている、という要素がある。
これは知的生産の現場において大切な能力だ。一見ばらばらに見えることでも、つなげて考えてみれば一つの文脈になるということは多い。また、いくら情報や語彙をインプットしても、つなげて考えることができなければ良質なアウトプットは望めないだろう。
では、どうすればアウトプットする力…「情報や語彙をつなげる力」を養うことができるのか?
■文脈をつかむ力を身に付けるには?
『文脈力こそが知性である』(KADOKAWA刊)は、齋藤孝氏が偉人から芸人まであらゆる知的な人を参照し、知性がにじむ話術と文脈の鍛え方を紹介した一冊だ。
本書で齋藤氏が重要視しているのが「文脈力」だ。
言葉は他の言葉とつなげて文にすることで、意味が生まれる。そして、さらに文と文をつなげることで意味が連なり、展開していく。その連なる意味を的確につかまえる力が「文脈力」である。
私たちは文章の読み書きや会話といったさまざまなコミュニケーションの場面で言葉をやりとりする。
何を伝えたいのか。それにどう対応したらいいのか。文脈に則って話したり、文脈をつかむためには、瞬発的思考力と即応性、柔軟な反射神経が試される。この瞬発的思考力は「話す」練習で開かれると著者は言う。
■つなげる力を強化する「しゃべくり勉強法」
齋藤氏は、オリジナル「しゃべくり勉強法」で知力を鍛えたという。
中学時代に友人と二人で、それぞれが覚えたことを話すという方法だ。試験に強くなるだけでなく、普段の会話においても知識を取り出す速度が速くなったという。
ただし、「しゃべくり勉強法」というのは「おしゃべり」とは別物だ。おしゃべりは、それぞれがバラバラなことを言い合っても許されるものだが、こちらは違う。
まずは、覚えたことを速いスピードで人に話す練習する。そして、本やニュースからキーワードを拾い出し、それについて説明する。
最初は15秒で1つのネタを話し、次に30秒で2つのネタをつなげて話す。さらに、時間を1分にして3つ以上のネタをつなげて話そう。
ニュースを題材にすると時事ネタに強くなるというメリットあり、文脈をつなげて話すことが習慣化していると、普段の会話もまとまりのある話ができるようになるそうだ。
語彙は文脈の中ではじめて活きてくるもの。どんなにたくさんの言葉を知っていても、自在に使う術を身に付けておかないと意味がない。持っている教養や知識を織り交ぜながら面白い話ができるようになるためにも、文脈力にもっと注目してみるべきなのだろう。
(新刊JP編集部)